美声の考え�� ページ40
夫の不倫相手の女性と交友関係を持とうと考える妻が、どれくらい居るのだろうか。
世の中、様々な夫婦が居る中で、こういった奥さんは、明らかに珍しい部類に入るだろう。
私を誘い出すために、油断させようとしているのか。
でも、彼女からはそんな裏側は感じられない。
声だけで判断は出来ないと思うかもしれないが、不思議と裏表を感じさせないのだ。むしろ、客観的に見れば敵対関係の私だが、奥さんを好きになりそうな程に魅力的に感じる。
「ごめんなさいね、こんなことを突然に。」
「あの……私のことは、ご存じなのでしょうか？」
ただ確認の為に、分かり切った質問をする。
「はい、勝手に連絡先を調べてしまって申し訳ございません。」
"主人がお世話になっております"
普通なら敵意として聞こえるその言葉は、何故か本当に言葉通りの意味ような響きを持っていた。
「あの……こんな言葉では言い尽くせないのは承知なのですが、本当に申し訳ございません。」
悪者の私にこんな風に接する奥さんに対し罪悪感が最高潮に達し、何度も謝った。
だがそれさえ彼女により遮られた。
「いえ、謝らないで下さい。感謝していますから。」
感謝という単語に、物凄い違和感を感じた。
金銭の事だけを考えている人なら"慰謝料"の面で、感謝が出るかもしれない。
しかし根拠はないが、奥さんの中にそんな意味はないと感じた。
かといって、その単語の対象は分からないままだ。
理由を尋ねるのを見越したように、彼女は次の言葉を口にした。
「すみません、今もう時間がなくて。続きは直接お話ししたいですし、次の日曜日、空いていますでしょうか？」
はい、と自然に返事が漏れていた。
実際、日曜に予定はなかった。だが、もう一つ自分でも理解に苦しむ理由が心にあった。
奥さんに会ってみたい。
「では、十時に○○駅の西口でお願いできますでしょうか？」
こうして私は彼女と会う約束をした。
指定された駅は以前、朝倉さんと鉢合わせした、隆の家の最寄り駅で――――朝倉夫婦の家の最寄り駅。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
