要求 ページ27
「私に同情してください。そして教えて下さい。」
その瞳は哀しさに染まる。くしくも、それは彼女の美しさを引き立てる。
ああ、これだと思った。広樹さんの隣で見せた、この哀しみのベール。これが俺を魅了したんだ。
しかし、発せられた言葉は上手く掴めない。
「同情……？教える？相談に乗って力になって欲しいということですか？」
奥さんの要求を汲み取れず、さっき言われた単語を繰り返す。苦し紛れに、元々予想していた要求に近づけて解釈してみるが、彼女は首を静かに横に振った。
「助言は要りません。ただ話を聞いて、同情して頂きたいのです。そしてあなたの知る主人を教えて欲しいのです。」
「はぁ。」
未だ真意を理解できない俺は、ぎこちなく頷くしかなかった。
同情が欲しい？普段よく見聞きするのは、同情は要らない、という言葉だ。
その疑問が伝わってしまったのか、彼女はそれに答えるように続けた。
「悩みを話す目的は、ほとんどが同情だと思います。同情は要らないと言うのなら、なぜ苦境を話すのでしょうか？助言を頂いたところで、決めるのは自分です。どうしたらいいかなんて、求めていないんです。」
柔らかな口調で諭すように話しているが、力がこもっているように感じた。
その達観した意見を崩したくなって、もっと奥さんという人間を知りたくて、少し反抗してみた。彼女の考え方に少しだけ苛立ちを感じたのも事実だった。
「でも、可哀想と思われたくないとか、自分じゃ決められないとか、ただ聞いて欲しいとか、あるんじゃないですか？」
この反抗は無駄だとどこかで分かっていた。きっと色んなことを見通して熟考した上で奥さんの意見は成り立っている。頭ごなしに自分の意見を並べているのではない。彼女の強さの中にある柔らかさがそれを物語っている。
予想通り、彼女は表情を崩さないまま滑らかに答えた。
「その場合はちょっと違いますね。可哀想と思われたくない人はそもそも弱みを口に出しません。誰かに決めて欲しい人は、選択の責任を他人に押し付けるためでしょう。もしくは結局自分で決めて、言われた選択とは反対の選択をする。ただその場合は"大変だな"という同情を求めているんだと思いますが。それと、ただ聞いて欲しい場合、これは綺麗ごとです。結局は同情が欲しいんだと思います。」
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
