妖しさ ページ26
肯定も否定も出来なかった。
奥さんの相談が広樹さんのことだと聞いた時点から、もう消えたはずの疑問がくすぶりだしていたからだ。必死で見ないようにしていたが、先程の言葉により明るみに引きずり出された。
何も言えずにただ目を泳がせていると、ほらやっぱりね、と言うかのような不敵な笑みを浮かべて返事をしない俺にさらに言葉を重ねる。
「演技です。分かっていたでしょう？先日お会いした時のあなたの視線、私達の関係に気付いたものだと確信しました。」
「で、でも最初は……！」
咄嗟に口を手で押さえる。ばつの悪さに、瞳が揺れる。
あの日会った時から感じていた、俺のことが全て知られてしまう恐怖が今一気に襲ってくる。
そんな俺の内心を悟ったのか、彼女は、何でもお見通しよ、と言わんばかりの目で見つめて口角を上げる。その妖しげな表情は恐怖と共に俺の中の好奇心を刺激する。怖いもの見たさという表現が合うのかどうか分からないが、やたらと惹かれる。その奥が知りたい。
ただ、知ってしまったら抜け出せなくなるような気がした。
「そうね、最初は演技を真実と勘違いしていたでしょう。だけど……私を幸せそうと思いましたか？」
「え……。」
「きっと思わなかったでしょう。最初からあなたの瞳には哀れみの影があった。私の哀しさをどこかで感じ取っているような。」
俺は俯き肯定を示すこととなった。
確かに、奥さんを初めて見た時、美しさだけに惹かれた訳ではない。それよりも、何処か哀し気な空気やあの消えてしまいそうな儚い瞳に惹かれた。
しばし周囲の喧騒だけが二人の間に流れる。
「あなたにお願いがあるんです。」
その言葉に顔をあげる。すると彼女の表情は、元の優しい包み込むようなものに変わり、くすりと笑った。さっきの笑みに感じた引きずり込まれるような感覚ではなく、その美しさにぐっと心臓をわしづかみにされるような感覚を覚える。
お願いとはなんだろうか。広樹さんの相談のことだろうか、それとも演技であることを口外するなということだろうか。
だがそんな予想はどれも外れてしまった。
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
