動揺の時間 ページ22
『……。』
さっきから通話口からは無言だけが送られている。
「あの、どちら様でしょうか？」
もう3度目となる質問をかけた途端、プツッと通話を切る音の後に、ツーツーと繰り返しの電子音が鳴った。
「き、切れた……。」
「は？」
二人の間に沈黙の時間が流れ、重い空気がのしかかる。
どちらも一言も口にしない。
本当に奥さんだったのか、何故私の番号を知っているのか、なぜすぐに切ったのか、次々に疑問が頭の中でわいてくる。
電話に出る前の緊張や恐怖、焦燥といった感情が少しずつ落ち着いてくる。未だに心拍数は高く、先ほどの余韻を伝えている。
すると忘れかけていた問題が頭をもたげた。
その瞬間、収まりかけていた感情がどくどくと流れ込んできて気持ちが悪い。
奥さんと隆はどういう関係なのか。
そこまで出かかった言葉があと一歩のところで空気を震わせることができない。
これを彼に聞いて良いのだろうか。その次に待っているのは、私への尋問だろう。
運悪く彼に朝倉さんと知り合いだと知られてしまった。しかもただの知り合いではないというところまで知られている。奥さんの電話と知った時の私の反応も怪しまれた。ならばそれ以上の関係になっていると想像するのは容易だろう。
疑問が残ったままでも、このまま帰りたい。
「……帰るよ。」
バッグを素早く持ち、兎に角この場から去ろうとした。
だがそれは叶わない。
「ちょっと待て。広樹さんとはどんな関係なんだ。」
私の右手首に痛みが走る。隆の手がギリギリと食い込んでくる。そして彼の目は私を凍りつかせた。
耐えきれず、視線を横に外す。
「ね、ねぇ。その前に、隆は奥さんと……どういう関係なの？」
視線はそのままに声を絞り出し、彼の問いには答えず逆に問い返した。
なかなか返事がなく、時が流れる。
様子がおかしいと思って、彼を見やればもうその目は私に向いておらず、床に落とされていた。
心なしか右手から震えが伝わってくるような気がする。
呼びかけようとした時、その声は聞こえた。
「俺は、俺は……過ちを犯したんだ。」
「……え？」
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
