冷たい時間 ページ20
――ドンッ
背中が床に叩きつけられ、衝撃と共にジンと痛みが走り、一瞬息が止まる。
隆の手により両手首が力任せに押さえつけられ、ものすごい圧迫感を感じる。
背中の痛みが少し引き、目を開けてみると天井と彼の顔が映った。
その目はアルコールに助長されて欲望に染まり、理性の色は全くなかった。
この状況は危ない。
だが、そう判断した時にはもう手遅れで、すぐに唇が塞がれる。
「え、ちょ、待っ……ん！！」
右にはソファ、左にはテーブル。
手首は未だに開放されない。
ましてや相手は大人の男だ。
逃げられない……。
何度も角度を変え、貪るように繰り返される口付け。
開けたらだめだと結んでいた唇を軽く噛まれ、その痛みに反応して結び目をほどいてしまえば容赦なく侵入する熱を帯びた舌。深くなる口付けに息が苦しくなる。
逃げ出そうと必死に顔を横に振れば逆効果で、向いた方向と反対の首元があらわになり吸い付かれる。
「や……んあ…」
出したくもない声が無意識にこぼれる。
それがまた彼を刺激して、激しく舌を這わされる。
「や、めて！！」
声を振り絞って叫び、足をばたつかせてみるも、それさえ彼の原動力になってしまうようだ。
いつのまにか手首は頭上で一纏めにされ、彼は空いた手で私のブラウスのボタンに手をかける。
ここで逃げなければ取り返しのつかないことになりかねないと思い、渾身の力を込めて抵抗する。
だがやはり彼の手は止まらず、下着が外され胸に顔が埋められる。
耳に時計の針の音がやけに響く。
嫌な暑さがこもる一方で、心は反比例して冷えてゆく。
互いの息遣い、服の擦れる音、皮膚に這う舌、全てが心を寒さに落としてゆく。
これは、愛じゃない。
朝倉さんとは全く違う。
愛情はもとより同情も、温かさも、快楽ですら何も感じない。
それなのに、なすがままにされるなんて悔しい。
私は寂しかった。
いつも母の身代わりを探して、誰かの体温を求めた。
だからこんな風に彼の欲望に火を付けてしまったのには私の責任もある。
だけど、やっぱりこんなのって悲しい。
目から一筋の線が伝い、こぽっと音を立て耳に入る。
そんな時、隆は私から離れた。
誰も何も話さない室内に、着信音が鳴り響く。
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
