ep2 ページ37
高専に到着すると、伊地知はすぐに男の子を抱え上げた
伊「家入さんのところへ連れていきます」
粧はただ黙って頷いた
伊地知は急ぎ足で医務室の方へ消えていき、ぽつんと、廊下に一人残された
粧はその場で立ち尽くし——
大きく、深いため息を吐いた
「……はぁ」
肩が重い
気まずさと疲労が、体にまとわりついていた。
ふと、執務室のドアへ目を向ける
ドアの小さな窓から中を覗くと、何人かの術師と補助監督が慌ただしく動き回っていた。
報告書や資料が飛び交い、空気は緊張している。
その中で。
椅子に座っていた笠井が、ふと顔を上げた
そして——
窓の外にいる粧と目が合う
鋭い視線
明確な、睨みだった
「……っ」
粧は反射的に顔を引っ込める
逃げるように小窓から身を隠した
だが、次の瞬間
執務室のドアが勢いよく開いた
笠「新人!」
その声に、粧はびくりと肩を揺らした
ゆっくり振り返る
その顔は、すでに落胆していた
「……はい……」
笠井が腕を組んで立っている。
冷たい視線のまま、口を開いた。
笠「またやらかしたわね」
「……はい」
両手を下で絡める
笠「何がいけなかったかわかってる?」
粧は一瞬考えたが、答えが出ない
俯いたまま言った
「…わかりません」
笠井の眉がぴくりと動く
「任務終わり、調査後とはいえ、新人の補助監督が一人で見回りに行ったことよ!」
粧は思わず顔を上げた
目を見開く
「でもそれは笠井さんが……っ」
鋭く睨まれ粧は口を止めた
「……すみませんでした」
笠井はさらに声を強める。
笠「どんなに危険かわかってるの?」
一歩詰め寄る
笠「あそこで、本当に一人で見回りに行くバカがどこにいるのよ!!」
理不尽
あまりにも理不尽だった
粧の胸の奥で、イライラがぐつぐつと煮え始める
けれど、ぐっとこらえた
唇を噛み、再び俯く
「……はい、すみません……」
その時だった
「ここにいんじゃん」
軽い声が、背後から割り込んだ
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作者名:はなり | 作成日時:2026年3月14日 11時


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