理不尽 ページ36
ショッピングセンターの外
夜の冷たい空気の中、閉まったシャッターに背を預けて、粧は地面に座り込んでいた
膝の上には、小さな男の子
呪いに当てられてぐったりとしているその体を、粧は静かに抱き寄せるようにして支えている
片手で子供の額を軽く押さえ、もう片方の手でゆっくりと背中をさすっていた
その顔は、明らかに疲労困憊だった。
目の下にはうっすらと影が落ち、髪も乱れ、息も少し荒い
ずっと身を守ることに徹していたようだ。
そこへ、軽い足取りで近づいてくる男が一人
五「……あー、いたいた」
漸く五条が現れた
彼は粧の姿を見て、一瞬だけ目を細める
膝枕の体勢で子供を守るように座り込んでいる粧を、上から見下ろした
そして——
五「ふっ」
鼻で小さく笑った
特に声をかけることもなく、そのまま二人の横を通り過ぎ、ショッピングセンターの中へ入っていく
粧はそれをちらりと見たが、何も言わなかった
ただ、ぐったりしている男の子の髪をそっと撫でる
そして暫くした後、伊地知が車を横付けした
伊「粧さん!」
慌てて降りてきた伊地知は、すぐに状況を理解すると、子供を抱き上げた
伊「まずは手当てが優先です、高専へ戻ります」
粧も無言で立ち上がり、車に乗り込んだ
ハンドルを握る伊地知の横で、粧は助手席に座っていた。
シートに体を預け、窓の外をぼんやりと眺めている。
肩は落ち、表情は沈んでいた。
完全に意気消沈している。
少しの沈黙のあと、伊地知が静かに口を開いた。
伊「……粧さんは怪我などありませんか?」
粧は視線を外のまま、小さく答える。
「……ありません」
その声は、かすれていた
伊地知は少しだけほっとしたように息を吐く
伊「……ご無事で何よりです」
それ以上は何も言わなかった。
車は静かに高専へ向かって走っていった
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作者名:はなり | 作成日時:2026年3月14日 11時


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