任務後の最終調査 ページ30
任務後の現場には、まだ数人の補助監督と窓が残っていた。
呪霊はすでに祓われている。
だが、念のための最終調査だ。
広く、古びたショッピングセンター。
シャッターの閉まった店舗が並び、蛍光灯の白い光がどこか冷たく床を照らしている。
粧にとって、補助監督としての三日目の仕事だった。
窓「二人ずつに分かれて確認します」
窓の指示で、補助監督たちはそれぞれ別方向へ散っていく。
粧も一人の窓と並んで、人気のない通路を歩き出した。
呪霊は既に笠井が祓っている。
それでも、残穢や見落としがないかを確認するのが彼女たちの役目だった。
静かな空間に、靴音だけが響く。
その時だった。
ふと、粧の足が止まる。
――ドクン。
胸の奥で、心臓が大きく跳ねた。
粧の視線が、ある一点に吸い寄せられた。
空気の奥に残る、わずかな歪み。
残穢。
……いや。
「……え?」
粧の眉がゆっくりと寄る。
その気配は――
(これ……)
粧は思わず息を呑んだ
「うそ……」
呟きが漏れる
「……でも、なんで……」
目がわずかに見開かれる
その感覚は、普通の残穢とは違っていた。
もっと濃い。もっと生々しい。
粧の術式は、気配の流れを感知することに特化している。
だからこそ、間違えるはずがなかった
(これ……)
(まだ、いる……?)
額にじわりと汗が滲む。
「祓ったんじゃないの……?」
思わず独り言が漏れていた。
横にいた窓が、不思議そうに顔を向ける。
窓「粧さん?どうしました?」
粧はゆっくりと振り向いた。
その顔は、どこか青ざめていた。
唖然としたまま、人差し指を立てる。
「……一級が……」
声が少し震えている。
「まだいるんです……」
一瞬、空気が止まった。
窓「……え?」
窓の顔色が一瞬で変わる。
窓「い、一級……?!」
「はいぃ……」
粧は泣きそうな顔で窓に返事をする
窓はすぐにポケットから携帯を取り出した
窓「皆さん!!今すぐここを出ましょう!」
慌ててその場から走り出す。
その言葉をきっかけに、現場の空気が一気にざわついた。
窓「一級?!」
補「まだ残ってるのか?!」
補助監督たちが慌ただしく動き出す。
粧も慌てて携帯を取り出す
車で待機している笠井に連絡しなければ。
震える指で番号を押そうとした――その時。
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作者名:はなり | 作成日時:2026年3月14日 11時


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