元教師と元生徒 ページ18
執務室の中は、すでに夜の静けさに包まれていた。
机の上の蛍光灯だけが白く光り、パソコンの画面がぼんやりと粧の顔を照らしている。
粧は椅子の背もたれにだらしなく体を預けた
ぐっと伸びをし、口を押さえながら――
「……んぁ……」
大きなあくびを噛み殺す
目尻にうっすら涙が浮かぶ
「眠い……」
ぽつりと呟いた
ぼんやりとした目で、目の前のパソコン画面を睨む
そこには任務報告書のフォーマットが表示されていた
新田に教わった通り、入力を始めてはいる
だが、指がほとんど動かない
文章が全然進まない
「……」
粧はしばらく画面を見つめたまま固まっていた
ふう、と息を吐く
それでもなんとか気力を振り絞り、キーボードを叩いた
少し書く
また止まる
消す
書き直す
そんなことを何度も繰り返していると、ガラガラガラとドアが開いた
五「あれ、まだいたの?」
五条だった
粧は、今1番会いたくない人にため息を吐いた
五「初日なのに大変だねぇ」
言いながら五条は粧の隣に腰をかける
「そう思うなら差し入れの一つや二つください」
五「まずは久しぶり、だろ」
粧は椅子から立ち上がると、肩をぐるりと回し横目に五条を見た
「怒ってないんですね」
五「別に怒んねえよ
まぁ心配はしてたよ、生きてんのかなぁって」
「…………………」
粧はその言葉にぼんやりした顔でペットボトルの水を一口飲んだ
五「でもさ…っククッ…
借金塗れで、賃貸更新も出来なくて路頭に迷ってたんだって?
ククッ…あははっ!!」
心配してくれてたと思ったら今度はバカにしたように笑い出す五条に、粧は瞼をぴくつかせ、苛立ったように下唇を引っ張るように噛んだ
「夏油さんから聞いたんですか?」
五「いやぁ?猪野君」
「チッ」
猪野の顔を思い浮かべて舌打ちをすれば、宥めるように五条が口を開いた
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作者名:はなり | 作成日時:2026年3月14日 11時


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