同期 ページ11
会議室を出たあと
粧は廊下をだるそうに歩いていた
片手にはスマートフォン
視線は画面に落ちたまま、指だけが無造作に動いていた
その隣を、同じ新人補助監督の一人がぴったりとついて歩いていた。
どこか落ち着かない様子で、粧の顔をちらちらと窺っている。
やがて、意を決したように口を開いた。
「ねえ」
粧は特に視線も上げる事なく、スマホを弄ったまま眉のみをあげて応答する
「私のこと覚えてる?」
少し弾んだ声だった。
「当時、京都校にいた、水越菜乃花だよ
一度、交流会で会ったことあるはず」
粧はスマホをいじる手を止めることなく、短く答える。
「うーん」
そして、あっさり言った
「覚えてない」
_____顔も見ないまま
その言葉に、水越は一瞬だけ言葉を詰まらせたが、それでも話を続けた。
水「……2級だったのに、補助監督になっちゃうなんて」
ぽつりと呟く。
水「私、貴方に憧れてたのに」
粧の指が、ほんの少しだけ止まった。
水「2級で入学って早々いないじゃない?
大体皆4級か3級から
京都校ではね、皆貴方に憧れてたんだよ」
その言葉に、粧はようやく顔を上げた
そして一瞬、眉を上げて口を開く
「………まさか」
______憧られるような人間じゃない
それだけ言うと、またスマホに視線を落として歩き出した
廊下の先にはボロついたエレベーター
粧はスタスタとその前まで行き、再びスマホに視線を落とす
ボタンを押してない事に気づいた水越が代わりに上へ行くボタンを押してやるが、その横で、粧は無言で下へ行くボタンを押した
水越は不思議そうに首を傾げた
水「どこ行くの?」
その言葉に粧は無言でスマホの画面を見せた。
その画面にはLINEの通知
――――――――
粧さんは今日は新田と任務同行研修
一級術師 笠井/二級術師 猪野 の送迎。
10分後、外に。
――――――――
それを見た同期は、気の毒そうな顔をした。
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作者名:はなり | 作成日時:2026年3月14日 11時


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