傷跡 ページ32
五条side
そろそろかなぁ〜と
Aが入ってったカフェへ行ってみると
丁度、出口で友達に手を振っている所だった
友達が見えなくなるまで
ただポツンとその場に棒立ちするA
声をかければ突然紙袋を渡され中身を見ると
ドーナツとドリンクが入っていた
五「アールグレイドーナツじゃん〜！
これ僕が大好きなやつ〜」
「なら良かったです…」
五「なになに〜？
僕の為に買ってくれたの？」
「忙しい筈なのにわざわざ待っててくれたので…
五条先生ならそういうの…
自分で何個でも買えちゃうと思いますけど…
一応…お礼です」
少しずつAが心を開いてくれてるみたいで嬉しいねぇ
でも律儀すぎるんだよなぁ
五「君は若人なんだから
そんなの一々気にしないで青春してていいんだよ
でもまっ、これは喜んで頂くね〜」
「…はい」
なんだか元気がないように見える
友達に会った事で
自分だけ住む世界が変わった事を実感したからか？
ん……？
何だあれ…
ふと隣を歩くAの腕の傷に目がいった
拘束されてた時縄で擦りむいたのは知ってたけど…
とっくに治ってる筈だし
昨日はそんなのなかった
本人に聞いてみるか…？
五「腕、どうしたの」
「……え？」
キョトンとした顔で自分の腕を見ると
本人も少し驚いた顔をした
「何これ…」
五「え〜気づいてなかったの？」
「…今気づきました…なんでしょうかこれ」
ポカンとした顔で僕に聞いてくるA
五「僕に聞かれてもなぁ」
なんかこういうとこほんと抜けてんだよね
五「ちょっとよく見せて」
Aの腕を取り袖を捲って良く見てみるが
やっぱりどっからどう見ても
ずっと縄で縛られていたような傷跡にしか見えない
五「うーん…そっちは？」
大人しくもう片方の腕を僕に差し出してくる
「あ…こっちもだ」
五「あらまぁ〜、痛い？」
「…痛くないです」
痛みがないのはいいけど…
ちゃんと呪具使えるか心配してしまうくらいほっそい腕だなぁ
五「寝ぼけて自分の腕縛ったんじゃない？」
笑いながらそう言うと
「ええ〜…そんな事しないです」
五「分からないよ〜寝てる時って
自分でさえ自分の行動は不明だからね」
「まあこんな傷跡くらいどうでもいいです…
すぐ治るので」
割と僕、色々考えてるんだけど…
まあ本人がいいって言うならいいのかな
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作者名：はなり | 作成日時：2021年2月26日 12時
