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6限終了のチャイムほど希望をもたらしてくれるものはないだろう
1日の終わりを告げるその音とともに一斉に生徒は教室を出る
遊びに向かうもの、部活に向かうもの、
その群れとは逆の方向へ向かうのは私
校舎の奥の奥にある
旧校舎、今は全く使われていないけど入口の鍵が空いてるから自由に出入りできる
そしてなぜこんな辺鄙な場所に私が来ているのかというと
ここには私の大好きなものがあるからだ
旧校舎の階段を一気に三階まで駆け上がって、教室の扉を開ける
軋むような音とともに埃っぽい匂い
教室の真ん中に置かれた古びたグランドピアノ
それが私の大好きなもの
いつからかここを見つけて、私の安らぎの場所となった
近くにあった机に雑にカバンを放り投げ
ピアノを鳴らす
少しチューニングはズレているが私にとっては充分な音色だ
心地よく鼓膜を揺らし、それが私を安心させた
誰にも邪魔されない私の居場所
放課後にここのピアノで曲を弾くのは私の日課である
もちろんそのことを知るものは誰もいない
私だけの秘密
のはずだった
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作者名：紫陽花
| 作成日時：2020年9月27日 23時
