月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ7)

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「いい？出発するね。」

工藤さんがエンジンをかけ、車を動かそうとする。
後ろの席で窓の外を眺めていると
建物と地下駐車場を繋ぐドアから男の子が出てくる。

「さくまくん」

「ん？なんか言った？」

思わず声に出していたことに気付き慌てて
何でもないよ、と工藤さんに伝える。

ジャニーズJrって言ってたっけ。
生憎ジャニーズ事務所の方は共演する度に
覚えていっている程度でそれ以外の知識がほぼゼロだ。

窓の外を眺めると作間くんは迎えを待っているのか
イヤホンをして携帯をいじりながら壁に寄りかかっている。

工藤さんが車を出発させると同じタイミングで
地下へ降りてくる車とすれ違う。
作間くんのお迎えだろうか。

私もイヤホンをして自分の世界に入ると、
次の撮影の現場へ向かった。

「A、着いたよ。」

工藤さんの声でハッと目を覚ます。
移動中眠っていたのだろう。
小さく欠伸をすると車を降りスタジオへ向かった。

メイクをしてもらいながら工藤さんから
今後のスケジュールを教えてもらう。

ドラマが始まるということは撮影はもちろん
ドラマの番宣での雑誌の撮影やバラエティ収録など
かなり忙しくなってくる。

新しい映画も決まっている。目まぐるしい毎日で
あのときふと感じた感情を私はどこかへ忘れていた。