月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ47)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:134,097 hit

45 ページ47

ryuto

綾瀬さんは少し離れたところに
座ると、また台本をペラペラとめくっていた。

横目でちらりと見ると、
衣装に着替え幼さの残るメイクを施した
綾瀬さんはとても綺麗で、様になっている。

綾瀬さんが少し動くから、
俺は急いで自分の台本を読み込む姿勢に入る。

「Aちゃんおはよ～！」

そう声がして顔を上げると、
背の高いイケメン。藤原さんがいた。

「あ、作間くんもおはよう」

あ、なんて付け足されたように言うから
またまたモヤモヤが湧き上がってくる。

綾瀬さんしか見えてないんかい！
と、心の中で突っ込ませてもらう。

藤原さんは綾瀬さんの横に
それはもうスムーズに座ると、
まるで、2人の世界かのように話し出す。

藤原さんも今人気急上昇中の
若手俳優さんなだけあって
顔はとにかく整ってるし、
性格もワンコ系だなんてテレビで見た気がする。

年齢も綾瀬さんと変わらなかったような気がするし。

横に並ぶ2人を見ると本当にお似合いで、
綺麗で、落ち込んでくる。

「綾瀬さん！作間くん！お願いしまーす！」

そんな気持ちをぶった切るように
スタッフさんの声が響き、呼ばれた。

ふと、俺を見る綾瀬さん。

「作間くん、行こっか。」

初めて言われたその言葉に
俺は嬉しくなって。

綾瀬さん、俺が気まずそうなの
気付いてくれてたのかなあ、なんて自惚れる。

藤原さんには悪いけど、
綾瀬さんの元へ行く。

駆け引きなんて向いてないかもしれない、
計算なんか出来ないし、しない。

…だけど、俺、今すごく
藤原さんに負けたくない。って思ったんだ。