月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ36)

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ryuto

あの後、やっとの思いで気持ちを鎮めて
個人撮影を終わらせる。

何やってくれてんだ、ガリさん。
…と言うより自分が撮影に影響しそうなほど
動揺するなんて思ってなかった。

最後にメンバー全員での撮影。
やっぱり5人でいると面白くて楽しくて、
笑い声が絶えない。

ふと、人の気配を感じて、
スタジオの入口付近を見る。

…え！？！？！？！
綾瀬さん！？！

確認しようともう一度見ると
もう、いなかった。

「え……。」

思わず声が漏れる。

どうしたー？なんてはしもっちゃんに
言われたけど何て返したか分からないくらい
頭の中がハテナでいっぱいで。

終いには作ちゃん途中から
スイッチ切れてたよね？なんてイジられる始末。

一瞬だったけど、
一瞬しか見えなかったけど。

綾瀬さんが今まで見たことないような
ふんわりとした、笑顔で。

俺らの撮影を見ていたなんて。
ガリさんから言われたあとだからか、
何故か意識してしまう。

このあと、綾瀬さんとの撮影なのに。

撮影が終わり、いつも通りワイワイガヤガヤ
皆で楽屋に向かっていると、
楽屋の案内板に名前を見つけた。

「作ちゃん！綾瀬さん入ってるじゃん！」

ゆうぴーがテンション上がって
俺の腕をブンブン振り回す。

「あ、本当だ。」

さも、今気付きましたかのような返事をする。

「作間がお世話になってます～！って言ってきていい！？」

ゆうぴー、はしもっちゃん、瑞稀くんが
ワイワイ言ってる。

「なかなか会えない人だから会ってみてえ～！！」

俺も、メンバーを紹介したい気持ちは山々だけど。

人見知りだって言ってたし、
だいぶ話せるようにはなったけど、
俺もまだまだ距離がある。

もう少し、仲良くなってからね、と
宥めると意外と聞き分けが良くて。

「期待してるから！」なんてプレッシャー。

メンバーを紹介したい気持ちもあって、
もう少し打ち解けたら紹介するって約束して。

良いことなはずなのに、
何故か少しだけモヤモヤするのは。

メンバーの誰かをかっこいいと思ってしまったら。

どうしよう、なんて考えてしまうのは。

こんなの、学校で教わったこと、ない。