月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ32)

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不意に名前が呼ばれる。振り向くと、作間くん。
こっちです！なんて指で合図をしてた。

「…らしいので！ごめんなさい！」

握られていた手を解き、作間くんに呼ばれた方へ駆け寄る。

「残念～！また行きましょうね！Aちゃん！！」

よかった、すんなり諦めてくれて。
何故か最後、下の名前で呼ばれてたけど。

「工藤さんは…？」

横にいる作間くんに問いかける。

「すみません…、あれ、嘘です。
困ってそうに見えたので咄嗟に出た言葉が
あれでした…。」

頭を掻きながら、すみません、なんて。

「あ、そうなんだぁ…。ごめんね…助けてもらっちゃって。」

「次、俺が助ける番だったので。」

前を向きながら作間くんが敬礼をする。

そう言えば、次は助けてね、なんて言ったっけ。

ふふふ、と笑みが溢れる。
作間くんは子供なのか、大人っぽいのか
分からない。不思議な子だ。

律儀だね？なんて言うと、
当たり前だよ前田さんです。なんて。

…やっぱり、不思議な子だ。

あのあと、俺も帰るので駐車場まで送ります、と
作間くんは駐車場まで一緒に来てくれた。

工藤さんに見られると何言われるか
分からないから、と手前で別れる。

「次は綺麗なシュークリーム、
一緒に食べましょうね。」

そう言い残すと、では！！お疲れ様です！なんて
私の返事を待たずに来た方向に引き返していく。

ありがとう、と誰にも聞こえないくらいの声で呟くと、
工藤さんが待っている車へ乗り込んだ。