月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ19)

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「お疲れ様です。」

どこかを見ている作間くんに声をかける。
挨拶は礼儀だもんね。
それに、これから一緒の現場が多くなる相手だし、
挨拶もしない人とは思われたくない。

それにきっと緊張しているだろう。
私だって最初はそうだった。

本当はもう少し話を膨らませたり、
緊張を解してあげたりしたほうが
いいのかもしれないことは分かってる。

だけど、何を話せばいいのか。
人見知りな私には声をかけるのも精一杯だ。

「あのっ…！」

作間くんの横を挨拶をして通り過ぎたとき
後ろから声がした。

まさか呼ばれるなんて思ってなかったから
ビックリして後ろを向くと、
作間くんが顔合わせのときのような、
緊張と照れが入り混じった顔をして
こっちを見ていた。

「び、びっくりさせてごめんなさい…。」

「あの、綾瀬さんの、演技……
すごく感動しました……すいません…！」

緊張しているのか少しつまづきながら、
でも一生懸命伝えてくれる。

何で謝るのかは分からないけど。

作間くんって話すと年相応だなぁ、なんて
心の中で思ったりして。

突然話しかけられた驚きと、
褒めてくれたことへの照れくささから
お礼を言ってその場を去ることしかできなかった。

私完全にコミュ障だな…。

「何かあったの？」

工藤さんが声をかけてくる。
何でもないよ！と伝えると、
ふーん、と少し含みのある返し方をされる。

うちの工藤さんはエスパーみたいです。
それ以上は突っ込まれないけど、
きっとバレている。

嬉しかったなぁ、なんて。
あんなに素直に伝えてくれる人、
いなかったから。