月曜日21時のヒロイン【R.S】 (ページ18)

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ryuto

鳥肌が立った。
綾瀬さんの世界だった。見とれた。

相手の俳優さんも上手いのに。
なのに、綾瀬さんが喰っていた。

そこに、光がいたんだ。
綾瀬さんじゃなくて、光が存在した。

ふと気付くと綾瀬さんが真剣な顔で
モニターチェックをしていた。

一気に、綾瀬さんに戻っている。
周りの空気をも、自分のものにしてしまう、
俺がこれから見るこの世界はどう表現したらいいんだろう

駿は、駿だったら、

光に、どんな風に想いを伝えるんだろう。

自分が初めて踏み入れる新しい世界は
怖い。心臓がバクバクする。

こんなに怖いのに、何故か俺は高揚している。
ワクワクが止まらないんだ。

「お疲れ様です。」

綾瀬さんが声をかけてくれる。
束の間の休憩時間なのだろうか。

「あのっ…！」

考えるより先に言葉が出ていた。
足が勝手に動いてた。

綾瀬さんは驚いた顔で俺を見ている。
驚かせてしまった、
自分でも自分に驚いている

「び、びっくりさせてごめんなさい…。」

「あの、綾瀬さんの、演技……
すごく感動しました……すいません…！」

綾瀬さんは、ありがとうございます。と
会釈して行ってしまった。

気持ちが高揚すると、俺は体が勝手に動いてしまうらしい。
もうちょっとマシな伝え方なかったのかよ、と自分で自分にツッコむ。

はぁ、とため息をつき、台本を開く。
高鳴る胸の音に気付かないふりをしながら。