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その人の姿が見えると、周りの女の子たちが
一斉に色めき立って駆け寄っていく。
あっという間に囲まれたその人は
こんなことは慣れっこと言わんばかりに
適当に愛想を振りまいてクールな対応をするから
それがまた女の子の胸を射抜いて
きゃあきゃあと言う歓声がさらに大きくなる。
こんな少女漫画みたいなことある？
ただの高校生だよね？
そりゃ見てくれはかなりいいし、
普通の高校生になんて見えない。
｢ごめん、ちょっと通してくれる？｣
｢あぁ、すみません｣
あんたが周りに女子はべらせてるから
通れないだけでは？なんて思いながら
適当に謝って開いていたロッカーを閉めた。
小瀧 望。
うちの学校じゃ良くも悪くも、彼の名前を知らない人はいない。
それはもう、入学したときからで
先輩にも同級生にも、今や後輩にまで彼のファンはたくさんいて
ファンクラブなんてものが存在するらしい。
彼はこの学校の王子様だ。
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作者名：ひろか | 作成日時：2020年1月28日 0時
