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コブシの内は明かさなくても/ko-chan ページ31

*

好きになって半年、アプローチし始めてもうすぐ2ヶ月。恋愛ってこんなに進まないものだったっけ…

ちらり、と隣でパソコンと睨み合っているAちゃんを見る。聡いくせに恋愛事だけ鈍感な彼女のことが、どうしようもなく好きだった。

「こうちゃん、この間の記事のことなんだけど…」
「ん、何?」

パソコンの画面をこちらに向けて、彼女が俺の方に視線を移す。パーソナルスペースがものすごく狭い彼女は、膝が触れそうな距離にいても気にしない。俺としては、意識してほしいんだけど…

「_____こうした方がわかりやすいと思う」
「なるほど…ありがと!」

俺にアドバイスをもらってニコニコして作業に戻る彼女。くしゃ、と笑ったところも可愛い。

誰とでも仲良くなれて、明るくて、話しやすくって。一緒にいると居心地がよくて。そんな彼女を好きになるのに、そう時間はかからなかった。

好きって気づいてからは、積極的に話しかけるようにしたし、仕事の後に食事に誘ったりもした。業務連絡以外にだって連絡するし、休日に会うことも珍しくはない。

だのに、一向に距離が縮まった感じがしなかった。いっそ、好きだって言ってしまった方がいいのかな。いや、でもそれでフラれるのはやだし……

ぎゅ、と握った拳が汗ばんだ。

→→←君忘れたまふこと勿かれ/ymmt



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作者名:エリッサ | 作成日時:2021年1月7日 19時

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