菫の誓い/sgi ページ17
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｢どーして私なんかのことえらんだのよ｣
｢どうして、って…好きだから｣
｢もっといいひといるでしょ｣
｢俺にはAしかいません｣
｢ぜったいうそ｣
また新しい酒を開けようとした彼女に、もうそれくらいにしときな、と手を掴むと、あからさまに顔をしかめた。
口をとがらせ、やだやだと駄々をこねるその姿はまるで子供そのものだ。普段は凛とした彼女はどこへやら、酒が入ると途端に子供っぽくなってしまう。
酒に弱いくせにほろ酔いで止めておくことが出来ないので、酒を飲むときは俺がいるときだけ、と約束させたくらいだ。
｢しゅんきさんかっこいいもん、｣
｢あなたも可愛いでしょ｣
可愛いって言わないで、と頬を軽く叩かれる。全然痛くはないが、抵抗のつもりなのだろうか。もう20代半ばなのだから、『可愛い』よりも『綺麗だ』と言ってほしいらしい。3つ年が離れた俺からすると、いつまで経っても可愛いままなんだけど……というのは胸に秘めておこう。
｢すきならしょーこみせなさいよ…｣
｢え、待って、ここで寝んの？｣
ぱたりとテーブルに突っ伏してしまった彼女を軽く揺すっても、すやすやと寝息が聞こえるだけだった。
｢…運んで差し上げましょうかね｣
よっこいしょ、と膝に手を着いて立ち上がる。彼女ほどではないが、俺もそれなりに酔いが回ってきてる感じだな。
あっという間に眠りについてしまったお姫様を、恭しく抱き上げた。
｢証拠、ねえ｣
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｢A、ちょっと出かけてくる｣
｢いってらっしゃい｣
休日なのに仕事を進める彼女に声をかけ、財布だけを持って家を出た。一晩『証拠』とやらについてきっちり考えて、一応結論を出した。態度で示すよりも、目に見えるものの方が俺たちにはあっているはずだ。
｢＿＿＿＿＿＿あった｣
お目当てのものを見つけた俺は、それを手に取りまっすぐレジへ向かった。
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作者名：エリッサ | 作成日時：2021年1月7日 19時
