クロスステッチで描く夢

ふたりの朝食2 ページ10

2人分の朝食が来て、お互い顔を見合わせていただきます、をする。私が注文したパンは、焼きたてだから外がカリッとしていて美味しい。中もふわふわだし、頼んで正解。駿貴くんが美味しそうにフレンチトーストを頬張っているのを見て、ちょっとだけ将来のことを考えてしまった。

2人で朝ごはんの用意をして、一緒に食べる。そこには私たちだけじゃなくて子供もいたらいいな。付き合って日が浅いわりには、この人と結婚したいと思うのが早かったような気もする。もちろん駿貴くんには言ってないけど。

「A、フレンチトースト食べる？」
「もちろん」

フレンチトーストを1口もらおうとナイフとフォークを持つと、慌てて駿貴くんに止められた。

「そうじゃないだろ、はい」

これが当然、みたいな顔でフレンチトーストののったフォークを私に差し出した。…もしかして噂に聞く、あーんってやつか？恥ずかしいけどどうしよう…

犬だったら尻尾を振っているのが見えそうなくらい、駿貴くんがニコニコしてこっちを見ている。ええいままよ、と思って目を閉じて口を開け、フォークを口に入れる。

「…おいしい！」
「だろ？」

駿貴くんは満足したみたいで、嬉しそうにコーヒーに口をつけていた。

「駿貴くん、このあとどうするの？」

カフェに来ることは決めたものの、そのあとのことはなんにも決めていなかった。どうしようか、と悩む彼。

任せるよ、素敵なとこ連れてってね？なんて小首を傾げると、駿貴くんは意気揚々とスマホを取り出し、調べものを始めた。今のはちょっと狙いすぎたかもしれない。

まぁでも、実際彼と一緒にいられればどこだっていいのだ。きっと楽しませてくれるし、隣にいるだけで私は幸せだから。今だって楽しいし。

窓の外を見れば、日が高くなっていて太陽の光が温かい。これからも一緒にいようね、とか言えるわけじゃないけど、焼きたてのパンみたいなふんわりしたこの気持ちが伝わっていればいいな。大好きだよ、駿貴くん。


ふんわり恋人一年生/モーニング娘。

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