お揃い ページ13
-しゆん side-
『しゆちゃん、今日暇でしょ?』
レコーディング終わり、
たまたまスタジオで出会ったAは当たり前のように
そう聞いてくる。
し「ん〜、忙しいかな」
嘘。
本当はこの後は暇だし、
定期配信まで寝るだけの予定。
ちょっと意地悪してそう言ってみると、
“え〜…”と言いながら抱きついてくる。
『……』
し「何?」
『……しゆちゃんとお出掛けしたかった』
腰に回った腕に少し力を込めてそう言うA。
し「ふ〜ん、俺と出掛けたいの?」
『……ん』
し「出掛ける?」
『…いいの?』
し「仕方ないから俺の時間あげる」
そう言えばさっきまで悲しそうな顔してたのに
今ではめちゃくちゃ嬉しそうにしている。
買いたい物があると言われ、
Aに連れてこられたのは某ブランドのアクセサリーショップ。
『こっちとこっち、どっちがいいと思う?』
し「...いや、どっちと言われても...」
Aが手にして聞いているのは
星モチーフのピアスと花モチーフのピアス。
し「...Aピアス開けてないじゃん」
ばうちゃんに開けてもらうと意気込んだものの、
直前になんてビビッて俺に泣きついてきたのは最近の話。
それから開けたいなんて言ってないし、
Aが何のために買おうとしているのか知らないから
どっちがいいか聞かれても答えようがない。
『改めてピアスを開けようと思いまして』
し「...まだ開けてもないのに買うの?」
『先に買えば覚悟決まると思って』
そうドヤ顔で言うA。
し「いや、それで開けられなかったらどうすんの?」
『ゆきむがピアスをイヤリングに変えれるって言ってた』
…それなら最初からイヤリングでいいのに、なんて思いながらも
その言葉は心の奥にしまい込んだ。
し「Aのイメージならこっちじゃない?」
そう言って星モチーフのほうを指す。
『じゃあこれにする!』
ピアスを決めた後もいろんなアクセサリーを見ては
『これは登録者が増えた時に...』なんて言いながら
散策をしていく中、俺も気に入ったものがないか見て回る。
そんな中視界に入ったのは、
俺とAのメンバーカラーと同じ色で
同じデザインのピアス。
店員「こちら、手に取って見られますか?」
あまりに俺がジッとそのピアスを見ていたからか、
どこからかやってきた店員がそう尋ねてくる。
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作者名:SHiYuRiSu | 作成日時:2022年4月15日 18時