おかえりなさい。【KN】 2014.9 (ページ7)

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理由ページ7

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『…私、和也が思うほど、いいヤツじゃないよ』

『へー…オレ、いつ、Aのこといいヤツだなんて言ったっけ？…ま、いいや、そりゃーどんな話か楽しみだな』

ここまできたら、言うしかない。
覚悟を決めた。

『勇気が…ね、なくて…』

『？…なによ、まさか今からする話って、勇気がいるくらい深刻？』

ピクリと眉を動かした和也に、私は慌てて訂正した。

『違うよ。…ライブに、行く勇気…』

『は？？』

ライブ来るのに、なんで勇気いるワケ？…無駄にキンチョーしちゃったよ…と、和也は、ふはっと笑う。

『あのね…私、ライブの和也、すごく好き。
カッコいいし、楽しいし、キラキラしてて輝いてる』

『そりゃどーも』

『いつもＤＶＤでは和也たちだけしか見えないけど…本当は周りにたくさんのファンの人たちがいて、みんな和也たちを見てるんだよね…』

『そうでしょーね、ライブだから』

『きっと、私よりもずっと長く“アイドル”の和也を応援してきて…
　私よりも“アイドル”の和也をずっと必要としていて…
　ライブに行って、少しでも和也の傍に居たい、力を分けてもらいたい、って人がきっとたくさんいると思う』

『……』

『何だかそんな風に考えたら、すごくモヤモヤするの。和也がキラキラすればするほど、私、居場所がないっていうか、ふさわしくないっていうか…胸が苦しくなる…』

きっと…
この日のためにみんな綺麗にオシャレして、可愛い子たちが集まってくる。
情報収集にも頑張って、熱い眼差しで和也たちを応援するんだよね。

キラキラしたアイドルの和也は、私の知ってる和也の筈だけど、そうじゃない。
遠くにいる、みんなの和也…。

ＤＶＤなら手が届かないのは当たり前だけど、ライブは近くて遠い。

なんだろう。
そんなの当たり前なのに…。

どうして、それをモヤモヤと苦しく思うんだろう？

こんな思いを抱えて、ライブなんて行けないよ…。

『…で？』

『え？』

『理由、それでおしまい？』

『う、うん』

『あ、そ…。
　あー…なーるほどね。
　はいはい、要はアレだ。
　オレのことが好きで好きでたまんない…って事ね』

『？？…はい？』

和也は腕組みをして、一人でウンウンと頷いている。

『えーと、私の話のどこが、そういう結論になったの…？』

苦笑しながら尋ねると、急に和也は真面目な顔になった。

『んじゃ言わせてもらうけど…
　オマエさ、まず入口から違ってっからね？』

『…え？』

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