もう一度だけ ページ40
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「…ね、A、もっかいする前に、もう一度だけちゃんと言わせて？」
「？…何を？」
頬を紅潮させて、まだ眠そうにとろんとした瞳。
だからー。
意地悪してくださいと言わんばかりの無防備な表情で、いつもオマエのが誘ってんだって。
「“何を？”
…あー、はいはい。
もしかして、何をもっかいするのか聞いてます？知りたい？
んじゃー教えてあげ…」
「違う///！！
和也が、ちゃんと言いたいことって…何？」
予想通りの反応に、くくく…と笑いが漏れる。
「もう、和也っ！」
そう。
いいよ。
そうやってもっともっとオレの名前を呼んでみて？
「目、覚めた？」
「せっかく気持ちよく眠りかけてたのに…」
「いいじゃん、アナタ明日休みでしょ？
寝落ちする前に、Aに、もう一度だけ、ちゃんと言いたかったの」
ちゅっと、軽いキスで宥めて、少し顔を離した。
小さく深呼吸してから、まだ真っ赤に染まったままのAの顔をまっすぐに見て、ゆっくりと告げる。
「ただいま。A…」
オレを見つめていたAの目が、一瞬、大きく見開かれ、その後でふんわり緩む。
オレに何があっても、オレのままで受け入れてくれる存在。
ああ、コイツがこうして傍に居てくれんなら、やっぱオレ何でも頑張れちゃうんだろうな…と、苦笑する。
オレがオレで居られる大切な場所。
“よかった、私ももう一回、ちゃんと言いたかったから…”と笑って、Aはオレの顔をまっすぐに見た。
「おかえりなさい。和也…」
一番聞きたかった言葉を、もう一度だけちゃんと聞いて。
見つめあったまま何故か少しだけ照れながら…
オレ達は二人で今日もう何度目か分からない始まりのキスをした。
＋＋＋
end.
親愛なる黄色王子様に
感謝と尊敬と大きな愛を込めて…。
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作者名：kico
| 作成日時：2014年9月28日 15時
