着信 ページ29
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「…和也、お腹、空かない？」
抱き締められた腕の中で、尋ねてみる。
狭いソファにブランケット一枚でくっついて、私たち何してるんだろ…///
あれからかなり時間が経っているのか、窓から見える空はもう真っ暗だ。
「…んー…まだいーや…
Aと、こーすんの久しぶりだし…」
「うん///」
「オレ、手冷たいからさ…
Aにあっためてもらおっかなー」
「やだ！ちょっとやめてー！」
和也のひんやりした手が脇腹の柔らかいところを撫でてきて、擽ったさと冷たさで思わず笑いながら身体を捩る。
んな暴れっと落ちるぞ？…と、和也は楽しそうにまた私を引き寄せた。
久しぶりに二人だけで過ごす時間は、ひときわ甘く感じて酔いしれてしまいそう。
幸せな時間…。
「で、いま何時だ？……あ…」
「…何？」
スマホに手を伸ばした和也が、顔を顰めた。
「電源入れてみたら、相葉さんから着信が山ほど入ってる」
「え？」
「ちょっと、ごめん」
よっ…と勢いをつけて上体を起こし、ソファに普通に座りなおして、和也は相葉さんにコールバックし始めた。
「…あ、相葉さん？
悪い、今気付いたんだけど、何？」
なんだろう…
仕事かも。
「…ああ、あれね。…えー！？
あー。
…あのさ…オレもう家で寛いじゃってんだよね。明日じゃだめ？」
でも、こればっかりは仕方ない。
これまでだって、急な打ち合わせに呼び出されたりしてるし。
できたら、もう一度ちゃんと『おかえりなさい』って言って、もうちょっとゆっくり話がしたいけど、こうして温もりを感じられただけでも、良かった。うん。
「…そんなの知んねーよ！明日にしろよ、明日！」
廻りを見ると…
わ、ソファの周りのラグの上に、二人の服が散らばっている。
夢中になっていて気付かなかった…。
「…えーそうなの？…そりゃ、わからなくもないけどさ…。
……。
わかった、わかった。取りに来るのね。
…え、A？」
…私？
自分の名前が出てきて、和也を見上げる。
「…うん来てっけど、いーよ。
仕方ないじゃん。今日渡すんだろ？
…はいはい、了解ー」
和也は電話を切って、はーー…と、溜息をついた。
「…相葉さん来るんだって。玄関先だから、Aちょっとここで待ってて」
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作者名：kico
| 作成日時：2014年9月28日 15時
