だな。 ページ4
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ルーフバルコニーの小さな白いテーブルに、たこ焼き、焼きそば、焼きトウモロコシに綿飴…と、屋台ならではの食べ物が次々に並べられてく。
最後に出てきたのは、ヨーヨー釣りの水風船。
黄色とピンク1個ずつ。
お店のおじさんに2つお願いしたら、彼氏が家で待ってるのなら…と2つ釣り金も付けてくれたんだよ！と、Aが嬉しそうに言う。
『水に浮かべて彼氏と一緒にやってごらん』って言われたのだと。
やってみようという話になり、早速2人で大きな洗面器をバルコニーの床に置いてみた。
水を張って水風船を浮かべただけなのに、意外と雰囲気が出てそれっぽい。
浴衣姿のAと洗面器を間に向かい合い、釣り金のこより部分を手にして2人でしゃがみ込んだ。
前に撮影ではやったことあるけども、こよりが濡れて切れないように釣り上げるのは、簡単なようで難しくて。
いつの間にか2人で本気になり、あーでもないこーでもないと言いながら、水面を揺らしてみたり位置を動かしてみたり。
ずるいよとか、バーカずるくないでしょ頭脳戦だよとか、予想外に盛り上がって大はしゃぎ。
「…やったー！！」
先に釣り上げたAが大喜びするもんだから、リベンジ宣言。
後で風呂場でもっかいやろうじゃないよ！とヨコシマな気持ち込みで誘ってみると、いいよ！と無邪気に受けて立ってもらい、機嫌を直すことにした。
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2人でテーブルに座り、缶ビールで他愛もない話をしつつ、Aが買ってきてくれたたこ焼きたちを半分こでつつき合う。
東京の夏の夜空はもう殆ど濃紺一色へと染まりつつあり、夜風が気持ちいい。
広くて開放的なルーフバルコニーで浴衣姿のAとこうやってると、あたかも本当に2人で夏祭りの夜店のベンチで腰かけて寛いでるみたいで。
「ああ、幸せ…」
まだ2缶目で既にほろ酔い加減のAが、嬉しそうに微笑んでる。
「相変わらず安上がりなお嬢さんだこと(笑)」
「もう…すぐそんな風に言うんだから…」
いいもーんと笑ってたこ焼きの容器を手に取ったAに、オレもふふんと笑って缶ビールに手を伸ばす。
まったりした時間。
そーね…こーいうのもいーじゃんね…
なんて内心呟きながら、うめーなーとビールを飲んでたら。
パパーン…パラパラパラ…と遠くの空で小さな破裂音が始まって、2人で顔を見合わせた。
「…！花火の音！？」
「だな」
「見えるかな…！？」
音のする方へと向いて、一緒に立ち上がってみる。
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作者名：kico
| 作成日時：2020年7月2日 23時
