ほろ酔い ページ12
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「うん！おいしい！」
「どれ」
おしぼりで手を拭き終わった和也が、私が置いたジョッキを横から攫ってごくりと飲んだ。
「うまっ」
「最高だよね」
「これはさ、やっぱ搾った人が上手いんだなー。神だよ神」
「えー？そうかなあ(笑)」
返してもらって、私もまた口を付けてみる。
こくんと喉を通すと、ほろ苦いグレープフルーツの爽やかな酸味とキレのいい炭酸が抜群で、とにかくすごくおいしい。
「あ！もしかすると…注いで混ぜた人が上手いから炭酸がきいて美味しいのかも」
「へー。
んじゃ聞かせてもらおうじゃないよ。混ぜ方にどんなすげー技があるっての」
「技というか…ほら、静かに混ぜないと炭酸が飛んで抜けちゃうでしょ？」
「バーカ、ンなの誰だってできるじゃん(笑)。
ほら、見なさいよ。この皮に少し実の残る絶妙な搾り具合。天才の技だよね」
「そのくらい私にもできますよーだ」
「オレよりか小っちゃな手のお嬢さんじゃ、この絶妙な搾り加減は無理なんですー」
「なによー(笑)」
どうでもいいことで胸を張り合って。
「…あー！私のポテトサラダが無くなってる！」
「んー？」
「食べたでしょ！」
「んーん(笑)」
くくくと肩を揺らせながらもぐもぐしている和也をポカポカ叩いてみたり。
静かな店内で、いつもの私たち。
他愛のないバカなやり取りをしているだけで、楽しい時間が過ぎてゆく。
最後のお吸い物とお漬物までキレイに頂いて、食前酒にビール中ジョッキ2杯とグレープフルーツサワーだけで、私はもうほろ酔い加減でいい気持ち。
なんだかとっても幸せだ。
「ほら。Aまだ飲めんでしょ？なに頼む？」
「ううん、私はもうお腹いっぱい。どうぞ？和也何か頼んだら？」
「んー、オレもいーかな。まだレモンサワー残ってっから」
これって逆だよね。
私の方が寛いでしまっていて。
和也のお祝いをするつもりだったのに、私が満たされちゃってるよ。
「あら、そ？…おー、んじゃ、言うことないじゃん。アナタが満足したなら、オレも満足してるってことなんだから」
「えー？」
イマイチよくわからなくて、苦笑いして問い返してみたけれど。
ふふんと笑うだけで何も答えは返って来ない。
だけどね。
その言葉が嘘や口先だけじゃない…ってわかる、今の自分の自信が嬉しくて。
ほろ酔い加減の私も、サワーをまたひと口飲んで、ふふ…っと小さく笑った。
＋＋＋
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kico(プロフ) - あさひさん» あさひさんコメントありがとうございます！某その節は「もう続きは書けない＞＜」って散々愚痴を零してましたもんね(苦笑)^^;このタイミングで書けて良かった。今の幸せな2人を見届けてくれてありがとう(*´ω`*)大感謝です(感涙)！ (2019年10月27日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
あさひ(プロフ) - kicoさん、素敵なお誕生日のお話ありがとうございます！今の二人が変わらず幸せで、私も幸せですー！定食屋さんのお話、もう読めないかなと思っていましたが、読めて嬉しいです！YELLOW MAGIC 読み返してきます！ (2019年10月26日 12時) (レス) id: 1753a678de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2019年10月11日 18時
