弐 ページ2
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佐藤A視点
まるで、蛇に睨まれた蛙だった。
鬼狩り中に現れた頭は、異様な雰囲気を放ち、私を見下ろしていた。雑魚鬼や十二鬼月とは違う。どっと一瞬冷や汗をかく。
「……お前は…っ鬼舞辻無惨！！」
炭治郎の言っていた通りだ。赤い瞳、全身が逆立つ異様な雰囲気、黒い癖のある髪等が一致している。まさか、こんなところで会うなんて。
「……ほぅ。貴様が童磨の言っていた鬼狩りか」
そいつは黒い髪をなびかせる。赤い目が、私を捉えた。童磨という鬼の名が気になるが、殺さなければならないと、先に殺意が沸いた。こいつがいなければ、みんなみんな、幸せに生きていたかもしれないのに。
死ぬかもしれないという恐怖を押さえ込み、鬼舞辻に刀を向け、型を放つ。花の呼吸肆の型…紅花衣。
頚を切るつもりでとんだものの、少し掠った程度だった。
暫くの死闘。全身に力を込めていないと、今にでも刀を落としてしまいそうだ。冷静に、考えろ。そう必死に刀を振り続けていたが。
適わなかった。
「…もう終わりか」
「ッ……」
首を締めあげられ、藻掻く。刀はまだ右手に握りしめてあるものの、左手や足は使い物にならなくなっていた。鬼舞辻は無傷と言っていいだろう。余裕そうに私を見つめる。ここに、炭治郎や義勇がいなくて、良かった。私は、最期の抵抗として、恨みを込めて睨みつけた。
「…気に入った。今すぐにでも鬼にしてやりたいが……まずは」
鳴女、そう口を開いた瞬間、私は呼吸を使い、鬼舞辻の片手を切った。連れていかれる、鬼にされる。果てしない、嫌な予感がしたからだ。
鬼舞辻は目を見開き、消えていった。瞬間移動みたいなものだったのだろうか。だが、悠長に考える暇はない。すぐ、鬼舞辻は戻ってくるだろう。このままでは確実に鬼にされる。地に落ちた私は、だらしなく木にもたれかかった。
きっと私はもう持たない。逃亡するにも、足が動かない。助けも呼べない。肺も痛く息もしづらい。鬼になって人を喰らうくらいなら、死んでやる。
そう、震える右手で刀の矛先を自身の首に向ける。
ごめんね、みんな。先に逝ってしまって。まだみんなと一緒に笑っていたかったなぁ。
ほろり、ほろりと涙がこぼれる。はやく、はやく。
そして私は、心臓に刀を突き刺した。
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美穂(プロフ) - 続きが凄く気になります (2023年2月2日 12時) (
レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです！続き楽しみにしてます！ (2020年3月24日 20時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！この作品好きになりました！続き待ってます！ (2020年1月26日 0時) (レス) id: 7ae7374779 (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好きwoman - とっっても面白いので早く続きが読みたいです！更新頑張って下さい！ (2020年1月25日 16時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
詩 - 面白かったです！続き楽しみにしてます！頑張って下さい！ (2020年1月21日 13時) (レス) id: 059c2de8f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はらぺこんぐ | 作成日時：2019年12月6日 21時
