蜘蛛家族の妹【鬼滅の刃】

蜘蛛が25匹 ページ26

Aside




「怖かったですね、失礼ですがご家族の方は？」




歩きながらしのぶさんが話しかけてくれた





「家族は……殺されました、多分」





この人はきっと昔の、人間の家族のことを聞いたのだろう



そんなことはわかっていたけれどこう答えたかった




それにあの家族はどうなったかなんて知らない




「それでは身寄りは？」




「ありません」




みんなもういなくなったと思うと涙が止まらなかった








困ったように笑うこの人が気に食わなかった







きっとこの人も私の家族の經を切った1人なのだろう







「とりあえず数日はうちへ来て、それから考えましょうか」






そうよね、そうしましょうと勝手に話が進められる






誰もいない暗い山道を歩いているとまた思い出が蘇ってきた






この人達が来なければ私達家族は幸せだったのに






静かに暮らしていただけなのに






しばらく歩いていると変な人達のところに着いた






顔が隠れた黒い服を着た人たちが手当てをしている








「みなさんこの方を……そうだお名前を聞いていませんでした、名前はなんというんですか？」






笑顔を絶やさないこの人が憎かった





そうだ






お兄ちゃんに言われたんだ






人間を憎まないでって






お兄ちゃんは、みんなは人間に殺されたわけじゃないって






だから今この人をどうこう思うのはやめよう





そしてお兄ちゃんを殺した鬼を憎む






ごめんお兄ちゃん、ありがとう






お兄ちゃんのことは絶対に忘れない







「綾木Aです。あの……鬼の、鬼の中で一番強くて偉い奴って誰ですか」






涙を拭ってしのぶさんに問いかける






「Aさん……その鬼は鬼舞辻です。鬼舞辻無惨」





その名前を口にしたしのぶさんは穏やかに笑っていた




目以外は




目は憎しみを込めてどこかを睨んでいた





きっと私もそんな顔をしているんだな









.

蜘蛛が26匹→←蜘蛛が24匹

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す