検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:599,597 hit

蜘蛛が12匹 ページ13

.



長女が消えてしばらくした日のこと




Aがこの家に来たときのように月は明るく輝いていた




「ちょっといい?」



累は山の奥へAを呼んだ




「Aに言っておかなければいけないことがあってね」



月の光に照らされた累の顔は少し困ったように見えた




「今この山に10人程の鬼狩りが向かってるみたい。もし見つかったら君は連れて行かれる」




鬼狩りの話はよく聞いていた




その名の通り鬼を狩る人達




私達人間の味方ではあるが、鬼にとっては天敵




ごくり、とAは唾を飲んだ




「もちろん僕が、兄さんの僕がちゃんと守る」




隣同士に座ったAの頭を累は撫でる




「こんなに大きくなったんだね、昔はあんなに小さかったのに」


何度か新調した着物を懐かしそうに見る



「お兄ちゃんは私が守るよ、だって私人間だもん」



「ありがとう、でも無理だよ。何かあったらここに隠れて」



累は中が空洞の木の穴を指さした



家族で隠れんぼをした時に見つけた隠れ穴だ



「もし僕が……いや、なんでもない」



「お兄ちゃん?」



何かを言いかけた累にAは聞いたがなにも答えてはくれなかった





「僕は何がしたいのかな」



累が呟いた



「どういうこと?」



「母さんに言われたの、累は何がしたいのって」



何がしたいのかわからない、と累は言う



「なんで僕は家族なんか欲しいのかな、なんでこんなことになるのに君を妹にしたのかな、わかんないや」


累の声は今にも泣きそうだった




「でも、私は累の妹になれてよかった」



震える累をAは抱きしめた



「きっとあの時累に会えてなかったら私はこの世にいなかったと思う」



「しかもさ、累のおかげで優しい家族があることを知れた。昔のお姉ちゃん達が幸せそうな顔してた意味がわかった」




一つ一つ言葉を探しながらAは累に想いを伝えた







.

蜘蛛が13匹→←蜘蛛が11匹



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (974 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
894人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

向日葵蜜柑 - 此れが家族の絆ってやつなんですね、感動物語です!!!!!! (2023年3月16日 16時) (レス) id: 02a4ca8853 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵蜜柑 - ッッッ 涙がッッッ!!!!! もう本当にいい話!!!!ガチめに泣きました!!!(((((好きです← (2023年3月16日 16時) (レス) @page30 id: 02a4ca8853 (このIDを非表示/違反報告)
みゃぁ。 - すごい好きです。この作品。なんでもっと早くに出会えなかったんだろう…。すごく感動して泣いてしまいました。 (2022年12月15日 23時) (レス) @page30 id: 253b777aaf (このIDを非表示/違反報告)
レベ - 感動しすぎて家族に心配されました。累の夢小説いっぱい見たが、こんなに泣く話は初めて。 (2022年11月29日 17時) (レス) @page30 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - こ………んに…ちは。泣いてます。はい。る〜い〜!! (2022年3月25日 21時) (レス) @page30 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まひな | 作成日時:2020年3月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。