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彼女は呆気にとられたかのように何度か瞬きをした後、さも当たり前というような表情でけろりと答えた。

「いや…だって、物的証拠があるじゃないですか」

…それだけで信じてもいいものなのか?と思った俺をよそに、「それに…」と彼女は続ける。

「私が貴方の話を信じなければ、貴方にとっては不都合ではないんですか?」

……ぐうの音も出ない。言い返せなかった。

抜けてるかと思えば、妙に鋭い。…なんだか、彼女に疑問をもつ自分が馬鹿らしくなってくる。

「あ、すみません…安室さんに言いたいことが…」

目を伏せがちに、急に声のトーンを低くした彼女に疑問を抱きつつも、「なんですか?」と笑顔を向ける。

何回か深呼吸をした彼女は、いきなり頭を下げてきた。

「空き巣だと勘違いして…すみませんでした!」


……やはり彼女は不思議だ。






「顔を上げてください」

そう言われ、おずおずと姿勢を戻していくと、安室さんの苦笑した顔が。

「…誰だってあの状況では、僕を空き巣と思うのは仕方ありませんよ。そんなに自分を責めないでください」

「でも」と言葉を続けようとした私の唇に、そっと指が添えられる。…デジャブを感じるのは、気のせいだろうか。

安室さんは少し微笑んでから、唇から指を離していく。あまりにも自然な動作だったので、頭がついていけない。

しばらくしてから我に帰った私は、さっきからずっと疑問に思っていたことを口に出していた。

「そういえば安室さん、衣食住はどうされるんですか?」

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美華 - 更新頑張って下さい!続き待ってます! (2017年5月11日 20時) (レス) id: c90045752e (このIDを非表示/違反報告)
閃光の舞姫ラピスラズリ - 凄く面白いですね!続き、とても気になります!これからも頑張ってください!! (2017年1月29日 7時) (レス) id: 54b8368fd9 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きとても気になるです!更新頑張ってくださいね♪応援してます! (2017年1月5日 21時) (レス) id: 00707a52c1 (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして。都です。いきなりですいませんが、この作品、とっても面白いです。文章が、読みやすく、具体的で素晴らしいと思います。ぜひ、これからも頑張って下さい!応援しています! (2016年12月18日 9時) (レス) id: 94bc634eba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リッタ | 作成日時:2016年11月23日 22時

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