3. 【16】 ページ3
「さっっ.......智くんっっ！！」
社内を走りに走り回って
汗だくになりながら辿り着いた、展望デッキ。
「さっき講義室で見たな」
「カンファレンスルームじゃない？」
「廊下をあっちに向かって歩いてた」
智くんどこっ！？と探し回る俺に
同僚たちがくれる情報をもとに上へ下へあっちへこっちへ
ようやく辿り着いたお目当てのひとは
「お疲れさま」
くるりと振り返り
ハァハァ言ってる俺とは真逆なのんびりした声で、ふわっとにっこり、微笑んだ。
「なんでっ」
「え？」
「どうしてっっ」
「だから(笑)。なにが？」
空を見上げてた、その後ろ姿。
ポケットに手を突っ込んで。
ふわふわに整えた髪を、風になびかせて。
華奢だけど、引き締まったきれいなシルエットを引き立たせるような漆黒の制服に
映える四本線がもう、かっこよくて。
......それがなんだか腹が立って
無性に無性に腹が立って
ずんずんずんずんと近づきながら鼻を膨らまして捲くし立てる俺に
智くんは変わらず、ニコニコ笑ってる。
「俺操縦桿離したのにっっ！！」
「うん」
「操縦放棄したのにっっ！！」
「そうだね」
「それが俺の仕事なのにっっ！！」
「うん、でも」
____でも翔くんはちゃんと、キャプテン、だったよ。
時が止まったかと思われるほどの静かな静かな空間に、
響く智くんの、声。
「俺、ちゃんと試験官、したもん」
耳に届いたその声は、
その柔らかさに似合わない程に、確かな強さを持ち。
そしてその優しい笑顔からは、そこに何の迷いもないことが、伺えて。
でも
でもだからこそ
迷いのない強さが
変わらないその優しさがもどかしくて
そして何より、何より何より
「さっ...智くんはいいのっっ！？」
「なにが？」
「だって俺をっっ！！俺なんかを合格にしたら、なんて言われるか分かんないじゃんっっ！！」
「そんなこと...」
「そんなことあるのっっ！！」
智くんに、万が一にでも迷惑をかけてしまうかもしれないことが
嫌で嫌でたまらなくて。
せっかく智くんが合格を出してくれたのに
ちゃんと試験官、してくれたのに
素直に喜べない自分も
どうにもどうにもやるせなくて。
「...翔くん」
智くんが、変わらず優しい声で俺の名前を呼んでくれる頃にはもう
いろんなもので顔中が
ぐしゃぐしゃだったと、思う。
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やよい(プロフ) - 智くんの背中に回された翔くんの手、翔くんの声(私は翔くんの低音ボイスが大好きです)、翔くんほど、智くんのパートナーに相応しい人はいないんじゃないかと思っています。また、お話を楽しみにしていますね。 (2021年9月1日 0時) (
レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手は智くんより大きくて、男らしくて、頼りがいがあって、私見ですが、温かくて、優しくて、智くんを守っている感じがします。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 翔くんの手と智くんの手が合わさっている画像、ネットで拾って、何枚も集めています。また、翔くんによる智くんへのエスコートの動画も集めています＝ほぼ変態の域かもしれません(^◇^;)。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - そう言う願いから、そう言う夢から、色々なものが研究され、発達して来たんですね。 翔くんの言葉、素敵です。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - 鼓膜が破壊されてしまっていても、いつか、再生医療が発達して、智くんの耳が微かでも音を拾えるようになれば良いのに。翔くんの声だけでも。そう祈ってます。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: 7c70da965a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2020年10月17日 0時
