6. 【６】 ページ6
空には濃い青と薄い青が混ざり始め
白い月は遠く、朧げに霞んできた
どれくらい時間が、経ったのだろう
白み始めた空は俺に
また、朝が来たことを告げる
冷たい床に投げ出したままの体は軋み
目の奥が疼くように痛い
眠ることを忘れた体では
斜めに見上げる四角く切り取られた空に手を
伸ばす力もなく
止めどなく涙を流すことを
覚えた瞳ではその空の
美しさを映せず
冷え切った心と体に
温もりを求めるように手繰り寄せたのは
小さな一つの
段ボール
あなたの証に触れている間は
「あなた」のそばにいられる気がして
あなたの想いに触れている間は
「あなた」がそばに、いてくれる気がして
大事に畳んだそれらをまた
取り出し抱きしめ
「あなた」のカケラを探す
颯爽とジャケットを羽織り
フライト機へと歩く背中
操縦桿を握り
滑走路を見据える真剣な瞳
その瞳に青を映して
微笑む横顔
閉じた瞳の奥
映る「あなた」の姿はどれも
美しくて
美しくて
何者にも
汚すことを許されない
はずだったのに
はずだった、のに
ふつふつと
想いの底から湧き上がる
何か
得体の知れないその何かは
いつか俺の心を支配していきそうで
でも
でももしかしたらその何かが
俺を「あなた」へと繋ぐ
唯一の何かかもしれなくて
ここにいる
明るく光る世界にいる俺が
「あなた」と繋がることを、阻んでいる気がして
その何かに
きっと
暗くて真っ黒で救いようのない何かに
心ごと体ごと
沈めてしまおうとしたそのとき
「......?」
ふと目に入ったのは
段ボールの底に、重なる影
『Satoshi Ohno』
ちらりと見えたその文字に
思わず前のめりになって次々に取り出したそれらは
かなり使い込まれた様子の
何冊ものノートやファイル
「.....なん...だ？」
どこを辿っても
俺の記憶には存在していないその数々
「.........」
考えても考えても
目にしたことは一度もなくて
考えても考えても
何が「在る」のか想像さえ出来なくて
後ろ髪を引かれつつ
それでも何かに導かれるように
そっとそのノートたちに手を
差し伸べた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーこ(プロフ) - ふ、ふわふわ智に……かこーんがある！に、はあああああああ？な翔ちゃん……（笑）……猫ちゃんの飼い主探しのポスター……欲しい。 大事にちびちび読みたいです。おかえりなさいま (2020年11月14日 22時) (
レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
沙菜(プロフ) - mioさん！更新ありがとうございます。コメント久しぶりでごめんなさい。やっぱりお空のお話の智くんとしょーくんはいいですね♪この二人の関係性、信頼感がたまらなく好きです。ちょっとしょーくんが切なくなっちゃってるけど、智くんの言葉を楽しみに待っています。 (2020年3月4日 22時) (レス) id: 81edae0004 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - mioさん、お帰りなさい。そして、ありがとうございます (2020年2月29日 23時) (レス) id: edc532eac7 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - みおちゃん、おかえり？いや、ありがとう！待ってたよ待ってたよ(#^.^#) (2020年2月29日 16時) (レス) id: 178db8b66c (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 日生さん» 続→夢と希望と優しさを胸に、頑張って行きましょう！！……と、私もお返事しながら決意しております。こうして支えて頂けているから、また書いてみようかなと思えています。本当にありがとう。またいつでも、遊びに来てくださいね。本当に本当に、ありがとう。 (2020年2月29日 12時) (レス) id: 075ae85cbe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mio
| 作成日時：2018年4月15日 9時
