30. ＊＊＊＊ ページ30
ごめんねばっかりだった一郎。
申し訳ない、そればっかりだった一郎。
それがありがとうに変わることを願ったのは、いつからだっただろうか。
ここでこうやって生きてるのは、
当たり前じゃないことを。
ここでこうやって、当たり前みたいに当たり前が出来ているのも、
当たり前じゃ、ないことを。
痛いほど知った、あの日から。
ここにいてくれて、ありがとう。
兄弟たちの、一郎に対するその想いは、
日に日に強さを増していく。
それでもやっぱり、
何かがある度に、何かが起こるたびに一郎は、俯いて、眉毛を下げて目を潤ませて。
ぎゅっと噛みしめてる唇が痛々しくて。
その唇から零れる言葉が、切なくて。
だからこそ兄弟たちは、何度も何度も伝えてきた。
ここにいてくれることへの感謝を。
側にいてくれることを、選んでくれたことへの感謝を。
今を共に過ごせる幸せを。
あなたが大切だということを。
それぞれが、
それぞれのカタチでずっとずーっと伝え続けてきたその想いが、
今、こんなカタチで、実を結ぶなんて。
「やばい泣きそう」
「四郎のくせに？」
「......」
「おぉ、こわ。笑」
これ以上の幸せが、あるだろうか。
これ以上の幸せが、あってもいいのだろうか。
「....明日はいちさんありがとう献立にしよ」
「うん、そうしてあげて」
繋いできた日々に、嘘がないことを。
想いが届いた、今日の日のことを。
ぜったいぜったい忘れないと、四郎は胸に誓う。
「じゃあ俺はあそこのケーキ、買ってこようかな。チョコの」
「プリンも始めたんだって。種類たくさんあるって後輩が教えてくれた。
牛乳農家さんのね、支援も兼ねてるって」
そして。
「えーいちくん何が好きかなぁ全部買ってこようかなぁ」
「ふふふ、こりゃ仕事で出る度に買いに行かなきゃね」
そんな今は、これからも。
浮かんだ愛しいひとの笑顔がそのまま、ずっとそばに、在りますように。
そんな幸せがずっと、続いていきますように。
そう願い続ける限り、ずっとずっと、未来へと繋がっていく。
ううん。
俺が、繋いでいってみせる。
一郎が始めた、おうちサロンは。
四郎の胸に新たな決意を生み、
そしてそんな温かな幸せはこれからも、
兄弟たち自らの手によって、叶えられていく。
そんな未来を、約束してくれているかのようだった。
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マナ - 作者さんに質問です。あなたは茨城県北茨城市磯原町の出身、または住んでいますか？ (2021年11月27日 20時) (
レス) @page1 id: 8df98fa480 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - こんにちは。その後が気になっています。また、お時間あるときに続きをお願いします。 (2021年7月17日 17時) (レス) id: d5f4de7f1a (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - ううっっ！ いちくーん。以上心の叫びでした。きっとこの先に幸せな未来が来るんだよね？ね？ね？心静かに待ちます。 (2021年1月14日 15時) (レス) id: 178db8b66c (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - そか、マイガールだから、舞賀家か〜....なるほどぉ. (2020年8月13日 18時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - あっちゃんさん» 続)「うちのいっちゃん」なあの写真を想像しながら書いてるよ。なかなか筆が進まないことも多いけど、読んでくれたら嬉しいです。本当にありがとう！！ (2020年8月7日 14時) (レス) id: 075ae85cbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mio
| 作成日時：2020年3月12日 0時
