構ってください降谷さん【降谷零】新作予告の為の更新

◇33.ぶっきらぼうなQuestion ページ34

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降谷side









帰ってきてからというもの、
彼女の口から出ることはと言えば、


“安室、安室”

と、そればかり。








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その人物は他でもない俺自身なのだが、




彼女が心底嬉しそうに頬を緩めて喋りまくるものだから、さすがにイラッとしてしまう。





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優しい男がいい、だの、
ジェントルマンが素敵、だの。



安室透としての優しさを絶賛している彼女の姿を見て、
心に、ある疑問が浮かんだ。







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果たして自分は、彼女に優しく出来ているのだろうか。








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自慢じゃないが、俺は優しさには全く自信がない。



潜入捜査のように、全く別人になりすましている時なら、どんな人柄でも演じきれるのだが、


普段の素の自分は、そこまで出来た人間ではない。





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増してや自分の直属の部下であり、公安警察として共に働いているAに、自分を演じることなんて出来るはずもなく…、





彼女と接する時は、いつだって素の自分だった。








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Aの前じゃ素直になれず、憎まれ口ばかりを叩いてきたツケが回ってきたのだろうか。








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“ああいう男が好きなのか”


頭の中で浮かんだその言葉は、どうやら口に出てしまっていたようだ。

彼女が不思議そうな顔でこちらを見ている。







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｢…降谷さん？なんか言いましたか？｣


降谷｢……別に、お前もああいう優しい男の方が好きなのかと聞いてみただけだ。｣





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またしても、ぶっきらぼうな言い方になってしまったと反省していたら、彼女がクスッと笑ってこう答えた。








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｢…好き……、ですけど、私は普段の降谷さんの優しさの方が好きですよ？｣



降谷｢普段の俺は優しくないんじゃなかったか。｣



｢不器用な優しさにキュンとくるんですよ！
まぁ…、冷たくされるのも嫌いじゃないですけど。｣






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…なんだそれ、可愛いじゃないか。

彼女は、とことん俺を喜ばせるツボを心得ている。








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降谷｢…Mなのか｣

｢ちっ…、違いますよ…！｣









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