【鬼滅の刃】虚空ノ月光＿弐＿

53.恐怖の音 ページ8

男の名は玄楽(げんらく)といった。


家族は居ないらしい。


歳は私よりも二つ上。

本当かどうかは否か、とりあえず屋敷の中へ上がらせてもらった。


長細い廊下を突き進んでいく。




「...広大な屋敷ですね」


「あァ 死んだ婆さんの遺した屋敷だ」



婆さんの屋敷...。


どういうことなんだ、この屋敷は情報によると数年空き家だと聞いた。

そんな空き家にこの男は住んでるのか？？


だんだんと奥へと男は進んでいく。



どこへ行くのだろう。




「あの...」



呼びかけても反応を示さない。


...待って、




冷静になってみたけれど、









この男、































音がしない。




感情も、心音も。









無音だ。














ｿﾞｸﾘと背中に悪寒が走る。


動かしていた足を止めた。

それに気づいたのか、男は数歩歩いた先で止まった。




「...何をしている 早く来い」


「あの...あのｯ







一つ質問宜しいでしょうか」




一歩一歩、後退りしながら男の頭から足先までを見る。



「なんだ？」










「あの...貴方




















































死んでますよね...？」





「あァ 俺ァもう死んでる それがどうした」







私の震える問いかけに呆気なく答える玄楽さん。


目の前がグルンと回り、そこで私の意識は途絶えた。

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