Kleinod Ⅴ (ページ11)

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京本「まるで、「化物」みたいだ、ってさ。はは、笑えるよね」
自嘲的に笑う京本は、1度もこちらを振り返らない。
京本「明日処分を通告する、ってさ」
ジェシー「処分…？」
京本「処刑か、良くて国外追放じゃない？」
ジェシー「は？」
淡々と告げられるその言葉に、ジェシーも森本も理解が追い付かない。
京本は一体何を言っているのだろう？

京本「あのさ、俺たちは「普通じゃない」んだよ」
冷静に、しかし感情を抑え込むような声が響く。
京本「上層部はさ、その「普通じゃない」俺らを「従えてる」事に優越感を抱いているような奴等だよ」
どこか諦観しているような、まるで他人事のように彼は言葉を紡ぐ。

京本「自分たちだけが持つ「宝石」だって愛でていたのにさ、その「宝石」がある日急に手の平返して自分たちに牙を向いたら、怖いじゃん」
森本「…だから、自分たちが傷付かないように、処分って…？」
返事はない。それが肯定とでも言いたげだった。

ジェシー「そんなの…！そんなのって、」
京本「おかしいよ、「普通」はね」
森本「…俺たちは「普通じゃない」から…？」
京本「そう。俺たちは「普通じゃない」から。…言ったでしょ、彼等に従わない俺たちは、彼等に危害を与える俺たちは、ただの「化物」らしい、って」
彼が立ち止まってこちらを見たのは、基地内に着いてからだった。
その目がいつもよりも黒く見えてしまった。
その総てを諦めてしまったような彼の顔を見るのが、辛くて仕方がなかった。