Kleinod Ⅴ (ページ2)

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京本「…帰ろ」
ジェシー「え？」
それまでずっとこちらに表情を見せなかった京本が、戸惑う2人にそう言った。
京本「一旦、帰ろ。状況整理しないと。…高地の部屋に、何か手掛かりあるかもしれないし」
極端に冷静な京本に違和を抱きつつも、それ以外にどうすればいいかわからないジェシーは肯定の返事を漏らす。
京本は寝台から降りると、こちらを一瞥して部屋を出て行ってしまった。

森本「…樹、樹大丈夫？」
何かを考えている様子の田中に、森本が手を差し伸べた。
ぺちん、と乾いた音がして、音の方を見やればどうやら田中が森本の手を跳ね除けた音だったらしい。
田中「……ごめん」
森本「樹…」
何か言いたげな森本を差し置いて、田中は彼に背を向けると部屋を出る。
森本もその後を追っていった。

ジェシー「…北斗、一旦、帰ろう？」
微動だにする様子のない松村に目線を合わせるようにしゃがんで声をかける。
ショックで胡乱になっている瞳がこちらに向けられて、何かを発そうと震えた口が開かれた。
ジェシー「北斗！」
と思えば、彼の身体がそのまま傾く。
咄嗟に受け止めて、顔を覗き見るとその瞳は閉じられていて、されどその身体は震えていて。
ジェシーは彼を抱き抱えると、急いで基地の方へと戻った。

基地内はグループSの基地とは思えないくらいに静かで、気味が悪い。
ジェシーは松村を彼の部屋に運び入れ、そのソファーベットに寝かせる。
彼が高地に盲信していたのは知っていた。故にそのショックは計り知れないものだろう。
ジェシー「…ごめん、北斗」
見つけてしまったのは自分だ。いっそ、なかった事にすればよかったかなぁ？なんて。
もう今更言っても同じじゃないか。