近くて、遠くて。 (ページ46)

今日:73 hit、昨日:32 hit、合計:239,957 hit

46 ページ46

・

慎太郎side

....やってしまった、って思った

こんなことするつもりじゃなかったのにって

名残惜しさはあるけどそっと唇を離す

Aの瞳は俺を捉えているようでも心ここにあらず、という感じだった

『....あ、えっと、』

困惑するのも無理はない、
Aからしたらただの幼馴染みからキスされたのだから

｢....湯冷めしちゃうから部屋戻りな｣

『あ、うん、じゃあ、おやすみ』

俺の腕をすり抜けて部屋に戻っていったA
窓の鍵も閉めて、カーテンも閉めて、
当たり前のことだけど今のAの気持ちを見ているみたいで
すっごい苦しくなった

｢....まじで何やってんだ俺｣

自分ちの方のベランダに戻ってため息をつく

....ずっとAのことが好きで、
過去に彼女もいたけどAのこと諦めるきっかけになればいいなって
最低な理由で付き合ってた

....昔から分かってたから、
Aが俺のことを幼馴染みとしか見てないことくらい

中学生になってからちょっと多感な時期に入って、
いつも一緒にいることはなくなった

だからまたAの隣に当たり前のようにいられる
今が本当に幸せで

今までAが恋をしてもただ見てるだけで幸せってタイプだったから
高校生になってから、いや、
....京本先輩に出会ってから積極的になっていくAを見ることが
しんどかった

・