近くて、遠くて。 (ページ44)

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余韻に浸りたかったけど、
帰って速攻キツい帯を緩めたくてお風呂に入った

暑さのせいか、はたまた大我先輩のせいか、
おさまらない熱を冷ますためにベランダに出る

｢....蒸し暑いか｣

ひとり言を呟いて手すりにもたれかかる

〝Aちゃんにもっと近づきたい、かも〟かぁ.....

んふふ、

物理的な意味なのか気持ち的な意味なのか、わかんないけど

言われて嫌になる言葉じゃないよね

｢～～～！！！｣

１人でジタバタしてる私は変質者以外の何者でもない

｢あー、あー、大我先輩ほんとにズルい....｣

思い出しては悶えて、を繰り返しているときに
右側に黒い影が横目に映った

『あ、やっと気付いた？』

同じようにベランダに出て外を眺めている慎太郎だった

｢え、いつからいたの？｣

『割とずっと』

｢....さっきの見てた？｣

『どれかわかんないけど全部見てたよ』

｢最悪....｣

すると飛び越えて私のベランダに侵入してきた慎太郎

｢ねえそれ危ないからやめてって言ってるじゃん！｣

『危なくないからやってるんです～』

｢....せっかく余韻に浸ってたのに｣

『俺、邪魔？』

いつもみたいに言い合いになると思ってたのに
帰ってきたのは予想外の言葉だった

何かを堪えているような、苦しそうな顔

慎太郎が何を考えているか全然わかんない

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