unusual (ページ27)

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『…高橋さんが知ったら悲しませちゃうかもなって思ったの』

「え？」

…どういうこと？

人差し指の爪でシャーペンを突きながら

視線はそっちに向けたままの先生

…伏せられた目からは何も読み取れない

『彼女ではないよ』

「…“では”って、？」

『俺の唯一の昔なじみの女性なんだけど、
まあ…言えるのは色々あって、2人で出掛けてたって事かな』

「…先生は、その人の事好きなの？」

『ひっつき虫の生徒がいるからそれどころじゃないよ』

シャーペンから徐々に視線が上に移っていって、

先生の瞳が私を捉えた

『貴方を卒業させるまで俺は恋愛できそうにないね』

「私が卒業するまで待ってくれるってことですね？」

『馬鹿言うんじゃないよ、さっさと普通の恋始めなさい』

悪戯な笑顔を向ける先生に笑い返したけど
チクリ、チクリと少しずつ心にトゲが刺さっていった気分だった

先生の口から出てきた“普通の恋”って言葉

まるでこの気持ちを否定されたような気持ちがして寂しかった

わかってる、先生からしたら生徒からの恋心なんて迷惑だって

…私のこの感情は普通ではないんだって

「先生の普通を押しつけないでくださいってば」

だけど。

まだこうやって笑って言い返せるうちはきっと幸せだった

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