unusual (ページ23)

今日:2 hit、昨日:84 hit、合計:128,547 hit

23 ページ23

・

『最近やけに真面目だったじゃん』

「……」

『さっき緊張した、久々に高橋さんの名前呼んだからさ』

「…意味わかんない」

肩をすぼめて本当に気まずそうな顔をする先生に
思わず笑みがこぼれた

さっきまで、
自分の中で張り詰めていた何かがゆっくりと溶け出すような感覚

『慣れってさ、怖いね』

「ん？」

『夏休み明け…ここ1、2週間？
なんだかずっと心が落ち着かなかったのよ』

「なんで…ですか？」

プリントやら教材をガサガサ漁りながら喋っていた先生の手が止まる

部活動の始まりを告げるチャイムが耳いっぱいに聞こえて

それが止んだあと、先生の息を吸う音だけが耳に届いた

『誰かさんのせいじゃない？』

「…誰？」

『その人と過ごす放課後の時間、俺の中では習慣づいてたらしくてさ。それがなくなっただけでムズムズすんのよ。』

「それは…その誰かとの時間がなくて寂しかったってこと、ですか？」

『んー、何か言葉に当てはめないといけないとするなら
確かに、寂しいが1番近しい表現なのかもね？』

先生が寂しがってくれていた…

そうなんだ…

それを踏まえての授業中のあの行為の数々だとしたら
ものすごく愛おしく思えてきた

なんか……今までのウジウジしてた時間が馬鹿らしいかも

・