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松村『じゃあ、俺はこれで』


「あ…うん」




既に背を向けて歩き出そうとしていた松村くんが一瞬立ち止まって振り返る

視線が絡むと不思議そうに首を傾げる






松村『なんかあった?』


「…や、ううん、なんでもない」


松村『そう?じゃあまた』


「わざわざ有難うね」






若干の熱を保ったまま松村くんの後ろ姿を見送る


いくら樹が勝手にやったこととは言え、申し訳ないことしちゃったなあ

今度何かお詫びしないと、松村くん何が好きなんだろう





ちょうど姿が見えなくなる曲がり角

もしかしたら振り向いてくれるかななんて淡い期待を抱くけど
松村くんは何も気にすることなく姿を消してしまった




ひとつ息をついてエントランスを抜け、自分の部屋に帰る

手を洗おうと洗面台に向かうと
鏡に映る自分の顔に目を背けたくなる






「こんな顔で松村くんに会ってたの私…」



1日過ごした後っていうのもあるし、それに加えてバイト終わり

いくら夜とは言え、こんなヨレヨレのメイクの状態だったなんて




…まあ彼は何とも思わないか





有難いけど悲しい事実、まあしょうがない






自発的ではないけど、
松村くんに送ってもらったっていう想定もしていなかった今に

少しの余韻を抱きながらSNSを見ているうちに寝落ちしてしまっていた



















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作者名:ダイア | 作成日時:2024年1月4日 16時

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