第十八話 ページ21
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武田くんの旗印戦から数日後、新しい旗印戦が始まっていた。
今回は上杉くんが戦うらしい。
旗印を出したのはいかにもV系な男の子だった。
内容はそんな彼に似合う、「上杉謙信を1時間以内にビートで倒す」というもの。
戦う為にホールに行こうとする上杉くんに心配の声をかけたが、彼は随分と余裕そうだった。
え、上杉くんも意外にビートが出来るとか?
でもとにかく、誰かが怪我をするような野蛮な旗印戦じゃなくて安心する。逆にちょっとワクワクしているぐらいだ。勿論、上杉くんには負けて欲しくない。
彼を応援しようとして悩んだ結果、取り敢えずライブに行くかのようにタオルを所持しておくことにした。
上杉くんのターンの時にタオルを振り回せば、少しはそれらしくなるだろう。...恐らく。
井伊くん達が前を陣取って見ている後方で、私も旗印戦を見守る。
確かに彼の演奏は凄いけど……私はそういうのよく分かんないからなあ。ただ、上手だなとは思う。
演奏が終わったところで、音楽の先生が採点を始めた。
これ、完全に採点する人で決まらない?
もし趣味にドンピシャだったら過剰評価しちゃうんじゃないの?
そんなことをぶつぶつ思っていると、宙に結果が表示された。
採点結果はなんと100点。
100点って、上杉くんも100点を取らなきゃ勝ち目がないじゃないか。
「はいー上杉終わったー!」
「これはどう頑張ってもひ」
「引き分け!」
この前に引き続き今回も言葉を取られた隣の黒田くんは悔しそうに机をバン、と叩いていた。
「上杉くーん!!」
「泣くな、明智」
「...誰?」
画面を見て泣き出す明智くんの前に現れたのは、再びコスプレをした伊達くんだった。
「バッハだ!」
そう言ってくるりと綺麗にターンした伊達くん。
「それは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハか?」
「...そういう名前なのか」
『え?』
伊達くん、コスプレしてるのに本名知らなかったの?まあ私も知らなかったけど。けども。
そんな中、次は上杉くんだと声が聞こえた。
ハラハラしながらタオルを手に持って構えていると、上杉くんは先程から気になっていた隣の黄色い布を取り、琵琶を手に取った。
「琵琶…!」
『琵琶!?』
琵琶なんて本でしかみたいことないよ、凄い趣味だな上杉くん。かっこいい。
「上杉くん…頑張って下さいませ……!」
みやびちゃんが手を合わせて祈るのを見て、私もギュッと手を合わせた。
あとタオルは全然雰囲気が違ったので黒田くんに押し付けておいた。
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moka(プロフ) - 前田利家さん» コメントありがとうございます🥰💗面白いと言って下さってとてもやる気が出ますし、何より嬉しいです😭✨前田くんとの関わりも今後増やしていけたらいいな〜と思っていますので是非!! (2022年10月14日 20時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
前田利家 - 小説めっちゃ面白いです。私のおしは前田利家です! (2022年10月14日 14時) (レス) @page5 id: 4149d8455a (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - サナさん» わわっ!!ありがとうございますすぐに直してきます…!私も二人との絡みが欲しいなって思ってたのでこれから色々絡ませられるよう頑張ります!👍✨ (2022年9月29日 9時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 明智くんの、武田くんが、武田うんになってます。上杉との(伊達も!)の絡みが欲しいです。でも、秀吉もいいですよねー。 (2022年9月29日 7時) (レス) @page47 id: cd10ddfe42 (このIDを非表示/違反報告)
moka(プロフ) - コメントありがとうございます〜!私は直ぐ秀吉くんと絡ませてしまう病気にかかっているので凄く嬉しいお言葉.....✨✨️これからも彼と絡むことは多くなりそうです笑 (2022年9月4日 19時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:moka | 作成日時:2022年9月3日 23時