#黒蜜さん ページ36
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時透無一郎side:
「スースー…」
「…」
その後、僕の腕の中で泣き疲れて眠ってしまったAを屋敷へと運んだ。
血がついた服から僕の服に着替えさせ、気持ちよさそうに眠る彼女の寝顔を見る。
……これでも一応、僕の二つ上なんだよね。
初めて柱になってから話した人。
あまり深く干渉してこない彼女は、無言の空間になっても尚居心地が良いと感じられた。
明るく気さくな感じかと思えば、
負けず嫌いで冷たいし、裏表が激しい。
けど、親友想いだ。
Aはあの人にはとことん弱い。
故にふとしたことでその優しさが拗れ、両方にとって残酷な結末を迎えてしまうことがある。
僕が、支えてあげないと。
コンコン
「あの、無一郎くん…!今って大丈夫?」
扉を叩く音と、あの人の声。
そういえば今日までだっけ、
Aの髪を撫で、僕はそっと部屋から出る。
念の為彼女の靴を隠して、僕は扉を開けた。
「夜にごめんね…最後に話したいことがあって」
「話したいこと?」
とりあえず部屋に招き入れると、黒蜜さんは周囲に視線を彷徨わせる。
「とりあえず…私と一週間、付き合ってくれてありがとう。本当に感謝してる」
「…そっか」
「おかげで、鬼殺隊を辞めずに済みそう」
嬉しそうに笑みを浮かべて、彼女は言う。
「……少しだけ、私の話を聞いてくれるかな」
####
私の家は、小さい呉服屋だった。
___「ワシは長くないじゃろう…」___
祖父は病気で死んでしまう前に、孫の私が幸せになって欲しいとある縁談を組んだ。
___「杏香、寺山くんを紹介しよう」___
___「
ソイツの家は経済力があり、人当たりも良い性格だったからかな?
祖父は私が幸せになれると思い込み、彼に私を託してこの世を去ってしまった。
そんなとき、彼が本性を現した。
___「杏香は顔と体はいいからなぁ…!」___
___「鬼殺隊なんてすぐに辞めさせてやる」___
たまたま通りかかった隠が聞いたそうだ。
___「親友の女もいつか嵌めてぇなぁ…」___
####
「許せなかった…!私だけならともかく、Aにまで手を出そうと……」
「…」
「殺してやろうかと何度も思った。でも、」
刹那、優しく射抜かれる。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時