#生きてる ページ23
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「………んぅ…?」
瞼を開けると、太陽の眩しい光が差し込んできた。
「ここは…、蝶屋敷?」
そう脳が認識した途端、ズキリと右の
そっと毛布を退けてみると、そこには縫い合わせたような跡が。
ーー嗚呼、
私は猗窩座に負けたんだ。
「………うーん…」
「!杏香、」
隣から聞こえた、彼女のか細い声。
「よかった、生きてる…ッ!!」
杏香があそこで庇っていなければ、私は恐らく死んでいた。
本当に、感謝しても仕切れない程だ。
……でも私は、猗窩座を取り逃がしてしまった。
合わせる顔がない。
あんなに大きい爪痕を彼女に残して、私は何も成し得ることが出来なかった。
ギリッと歯を食いしばると、病室のドアが開く。
「!梅柱様、お目覚めになったのですね!」
「…はい」
「手術が終わってから丸一日程寝込んでいたんですよ?」
アオイさんの言葉に驚くも、私は一つ気になったことを聞く。
「あの、花河美樹さんは…?」
「あの方は軽傷で済んでいましたので、きっと今はお館様に報告をしていると思いますよ」
「…良かった」
ホッとして溜息を吐くと、アオイさんは私にハッキリと物申す。
「とにかく!今は怪我を治すことに専念してください!」
「ふふ、分かりました」
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「……今の話は本当なのか?」
「はい、事実です」
私ーー花河美樹は、柱の面々と対峙していた。
私が音柱の言葉に頷くと、彼らは揃って顔を歪める。
「私は、梅柱様が柱に相応しいとは思えません」
アイツを庇って、私の師範は怪我を負ったこと。
煉獄さんを葬った上弦の参に、私情を挟んで一騎討ちを申し込み負けたこと。
師範の刀を奪った挙句、怪我をした師範をそのまま置き去りにしたこと。
もちろん、嘘も含まれている。
猗窩座と一騎討ちするよう仕向けたのは私だ。
私のことを二回も助けてくれたのはアイツだ。
……でも、それでも、私は許せなかった。
見てしまったんだ。
師範が慕っている霞柱とアイツが、手を繋いでいるところを。
最低なのは分かってる。
だけど、師範だけが不幸だなんてあんまりじゃないか。
だから私は嘘を吐き続ける。
ごめんなさい、Aさん。
でも師範が幸せになるためには、貴方が消えるしかないの。
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Runa - 紅乱さん» 一気読みだなんて!めちゃくちゃ嬉しいです!杏香をそのように言ってもらえありがとうございます!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 永久さん» 最後までお読み頂きありがとうございます!!貴方様のコメントで泣きます!!!!! (2020年1月18日 11時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
永久(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう本当に!!泣きます!!!!! (2020年1月17日 17時) (レス) id: 75d8805815 (このIDを非表示/違反報告)
紅乱 - 今日見つけて一気読みしてしまいました!杏香ちゃん良い子すぎて泣ける…… (2020年1月16日 21時) (レス) id: 649e22ca45 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - 雫さん» それなあああです!!こんな親友私もめちゃ憧れます! (2020年1月16日 18時) (レス) id: e03723cf47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Runa | 作成日時:2019年12月5日 23時