◇見たくなかったことと知りたくなかったこと ページ2
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俺と翔さんが拾われて、どれ位の時間が経ったか……。
最近のような気もするし、ずっと前のような気もするし……まぁ、とにかく一緒に過ごしてる時間がどれ位かなんて気にならない程に、今の生活は居心地が良いんだよね。
俺と翔さんを拾ってくれたのは『便利屋』って言われてる人達で。
リーダーである大野さんはとにかく身体能力が高いのと、最下層の人達や同業者からも信頼が厚くて不思議な存在感を放ってる。
『便利屋』を取り仕切ってるお偉いさんを『ジジイ』呼ばわりしてるのも、ソレを許されるのも、俺の知る限り……あの人だけだ。
俺と一緒に実働部隊として行動する事が多い相葉くんは、兎に角優しくて人当たりも良くてイイ奴で、何よりも笑顔が魅力的。
あと、理由は分からないけど……この世界で独自の進化を遂げてる動物に、やたらと懐かれる人も、相葉くん以外には見た事ない。
翔さんと一緒に基本事務所で業務に当たってるニノは、見た目年齢が実年齢に伴わないし、頭の回転が早い上に、人の懐に入り込むのが上手い。
『便利屋』は普段、警察なんかからは邪魔扱いされるのが普通なんだけど……ニノのお陰で俺達は所謂国家権力とも仲良くさせてもらってる。
そんな３人に世話になってる。
最下層って場所だけあって、本来なら自分が生きていく事だけで精一杯な人達ばかりの中、あの人達に拾われた俺と翔さんは、本当にラッキーだ。
忙しい時は忙しいけど、仕事の少ない時もあるからある程度の休みも取れてるし。
今までの実績があるから、上層階級の人達にも名前が売れてて、仕事にも困らないし、ニノの料金設定のお陰で事務所の収入に困る事も無いし。
だからさ、割と平和なんだよね。
そんな、どちらかと言えば平和な時間を過ごしていた俺達に舞い込んできたのは、何だか現実味の薄い事件だ。
最初は、只の人捜しだった。
それが、『中央』の人間だった。
それも、『極秘事項』を知っている人間だった上に……命を狙われているかもしれないと依頼人は言う。
捜し人は割と簡単に見つかったけど、当の本人から『時期が来るまで知らせるな』と言われ、依頼人自体も不穏な動きを見せてて。
俺の馴染みになってる情報屋に探らせてみたら……まぁまぁ危険な案件っていうのが分かった途端。
依頼人は消えて……。
捜し人は死んだ。
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作者名：黒衣
| 作成日時：2017年5月31日 15時
