◇21 (2017/06/11) ページ21
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「そのやり方だと……ん〜、若干違うんだよなぁ……基本的な方向性は合ってんだけどさ……」
「えぇ〜？他にやり方ある？」
「おめぇはさぁ、何でも力業で押し切ろうとすっから、そのクセが出ちまってんじゃねえの？」
「そんな事ないでしょ〜？」
「いや、そうだね」
「……否定は出来ないけど」
まるで将棋でも指してるみたいな姿勢になっている２人を横目に、なんだか不思議な光景だな……なんて改めて思って。
２人の会話の内容なんて、聞いただけだと数学の問題やってるようには全然感じられないし、手元に広がってるものを見ても、そうとは思えない。
鈴木先輩のお世話を大野先生がしてくれているお陰で、私が頼まれていた仕事も順調に進められたし。
２人の問答が、私の仕事が終わるまで続けられていた事も、実際問題としてとてもありがたくて。
椅子の背凭れに寄り掛かりながら伸びをした私を視界に入れた大野先生は、ふにゃりといつもの微笑みを浮かべながら私の方に顔を向けた。
「Aが終わったみてえだから、今日のトコはここまでだな」
「えっ、ウソ！マジか〜！！」
「全部押してばっかじゃ進むモンも進まなくなっからな……ちょっち引いて考えてみ？」
「ちぇ〜、分かりました〜」
ソファにごろりと転がった鈴木先輩のお尻をパシッと叩いた大野先生は、立ち上がるとポケットに両手を入れて、私の席に近付いてきた。
そうして、私の手元を覗き込むと、不思議そうな表情をしながら自分の顔を少し傾けて唇を尖らせた。
「……なんで生徒会の仕事してんの？」
「……頼まれまして」
「ふぅん……おめぇ、ココでもか」
「私をこき使う第一人者に言われたくないですけどね……何か用事でもありましたか？」
「あぁ、そうそう……なんかね、しょ……櫻井せんせーが探してたぞ」
「…………あっ！！！」
「眉毛垂らして笑ってたから、なんか困ってんじゃねーの？なんか頼まれたんか？」
手が空いたら職員室に来るように言われてたのに……忘れて副会長に頼まれた仕事をしてしまっていて。
慌てて席を立って生徒会室から飛び出していく私の背中に、大野先生の声が飛んできた。
「A〜、ちょい待ち〜」
「……なんですかっ！！」
急いでるのに……と思いながら振り返った私に、大野先生はまた笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 716人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すりおろし梨。(プロフ) - 何？ 大野先生 何？ (2021年9月7日 8時) (
レス) id: 2a65575bc9 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のあさん» すぐ飛んできて下さったのですか！ありがとうございます！そして待っていて下さってありがとう。そう言って頂けてホッとします。楽しんで頂けるように頑張ります＆楽しんで頂けたら嬉しいです！ (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - aracick5963さん» コメントありがとうございます！一気読み、嬉しいです。こんなゆるゆる先生いたら懐いたのにな〜と思いながらカタカタしております(笑) そして黒大野先生をご所望なんですね(笑) 出るかどうかお約束出来ませんが楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のりさん» と平静を装っておりますが。え！？のりさんじゃん！わーい！！覚えててくれたんだー！と、めっちゃ喜んでおりました(笑) このお話もお楽しみ頂けたら嬉しいです！ (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のりさん» お久しぶりです！忘れてませんよ！こちらこそ忘れずにいて下さってありがとうです！私の拙いお話を喜んで下さって本当に嬉しいです。お待たせしてすみません。待って下さってありがとう┏〇)) (2021年8月24日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
