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広場の大きな噴水の下に一脚の椅子。
中央に据え置かれた石造りの台座からは絶え間なく水が流れていて。
珍しく顔を覗かせた太陽の光が、弾く水滴をキラキラと光らせている。
噴水の台座、その真横に置かれた椅子には、青いワンピースの女性が腰掛けて。
石造りの台座に凭れかかり、絶え間なく流れる水に身を任せている。
水の流れにゆらゆらと揺れる髪と青いワンピースがどこか幻想的にも見えて。
その表情はどこか穏やかに見えて。
水面から顔を出して、やっと息が吸えたようにも感じられた。
ワンピースの裾から覗く１本の脚には、青いハイヒール。
噴水の足元に溜まる水の流れにゆらゆらと揺れていて。
その姿は、まるで。
まるで。
「………人魚姫みたいだね、しのぶ」
俺は小さく呟いた。
豊川さんが聞かせてくれる話は、俺の耳を右から左に駆け抜けていって。
しばらく人魚姫を眺めていた俺の記憶に留まろうとしなかった。
彼女は、何かあった時の為に、俺に預けた物と似ている端末を警察に預けていて。
通信が途絶えたその場所に警察が向かってみると、既にもぬけの殻だった。
警察が彼女を捜索しようとしたその時、警察に一本の連絡が入ったのだそうだ。
彼女を発見したのは、最下層に住む、毎朝散歩を欠かさない爺さんで。
その姿を見ながら、俺のように暫くその場に立ち尽くしていたらしかった。
その後、頭のどこかがボーっとしたままの俺を豊川さんが連れて行った場所は。
あの夢に見た場所で。
その部屋の持ち主は上島さんだという事が判明していた。
弾かれたように部屋を飛び出した俺は。
彼女の隠れ家に向かっていて。
持ち主を失くした部屋は、ひっそりと静まり返っていた。
俺がいつもこき使われる為に与えられたデスクの上には、見知らぬノート型の端末が置かれていて。
『私だと思って大切にしなさい』
そう書かれたメモが置かれていて。
そのメモを手にして、やっと。
彼女はもう居ない。
それが理解できて。
息を切らせながら、やっと俺に追いついた翔ちゃんに声をかけられて。
Ｓ「………ニノ」
切なそうな顔をした翔ちゃんに抱きしめられて初めて、自分が泣いていた事に気付いた。
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黒衣(プロフ) - ジュンさん» 逝ってしまいましたね…ジュンさんのおっしゃるような存在だったと思うので、そりゃあね…書いてる本人が切なくなってましたよ…。ニノちゃんのいろんな場面で傍に居てくれるのは、出来うる限り翔さんが良いな…なんて思ってます。 (2016年11月14日 18時) (
レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - しのぶが逝っちゃった。ニノにとってはお姉さんのような母のような師匠のような、どれもそうで違うような、大切な人だったのにね。今回もつくづく翔ちゃんが居てくれて良かったです。 (2016年11月14日 6時) (レス) id: 4c513d08fd (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 櫻さとみんさん» わ〜！ありがとうございます！朝から雪ですか！そりゃ寒い…Σ(ﾟдﾟ；)体調などお気を付け下さいね？そこそこな(笑)ムロ鍋美味しそうですよね♪た、多彩！う、嬉しい…(;Д;) 頑張ります！ありがとうございます！ (2016年11月5日 13時) (レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻さとみん(プロフ) - 黒衣さま こちらも楽しみに読ませて頂いています。わが地方 朝から雪です(((・・;) 寒いです！ そこそこな(笑)ムロさんのムロ鍋 食べさせて下さい！ 多彩な黒衣作品 これからも楽しみにしてますね(^^)v (2016年11月5日 8時) (レス) id: 05f33a3645 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ジュンさん» ムロさん、来ちゃいました。潤くん大好きですからね(笑) しのぶさん、こき使ってますしね。翔さんも潤くんもニノちゃんになんだかんだ甘い(笑) 楽しんでもらえてるみたいで嬉しいです(*>ω<*) ありがとうございます！ (2016年10月26日 1時) (レス) id: 3e7f7417c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒衣
| 作成日時：2016年9月13日 22時
